2017年7月8日土曜日

6: ヘリコプターマネーはマネタリーファイナンシング(国債の貨幣化、財政ファイナンス)とどう関係するのか?

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マネタリーファイナンシング(国債の貨幣化、財政ファイナンス)とは何か?

-Hypothesizer

ヘリコプターマネーのリスクについてニュース記事やその他文書をいくらか目にするのだが、私が混乱するのは、しかるべき説明なく、話が財政ファイナンスに向かうことだ。なんだか、ヘリコプターマネーが財政ファイナンスになるのは自明だといわんばかりだ。ヘリコプターマネーは、必然的に財政ファイナンスを意味するのだろうか。または、財政ファイナンスは必然的にヘリコプターマネーを意味するのだろうか?

-Rebutter

私が考えるところでは、答えはノーだ。両方の質問にたいして。

-Hypothesizer

ヘリコプターマネーの目的は、公衆にお金をあげることであって、政府にではないはずだ。例えば、中央銀行が文字通りヘリコプターからお金をばらまけば、それは財政ファイナンスとは関係ない。

-Rebutter

そう。

-Hypothesizer

では、なぜ、ヘリコプターマネーが直接、財政ファイナンスを意味するかのように、財政ファイナンスが登場するのだろうか?

-Rebutter

中央銀行は文字通りヘリコプターからお金をばらまかないだろうが、それは、それでは、お金を公平にまたは意図する実体に届けられないから。実際のところ、中央銀行は、意図する実体にお金を届ける適切な手段をもっていない。だから、政府をとおしてお金を届ける。

-Hypothesizer

それでは、中央銀行は、お金を政府に、目的としてではなく手段としてあげるわけだ。

-Rebutter

そう。それは、政府は、お金を公衆に、もっとコントロールされた方法で届ける手段を持っているから。例えば、減税だ。

-Hypothesizer

ふーむ、 . . . すると、ヘリコプターマネーは、お金を政府に渡そうとするものではないが、現実には、おそらくは、お金を政府に渡さざるを得ないわけだ。

-Rebutter

少なくとも、それが、ヘリコプターマネーを届けるために大抵検討される方法だ。

-Hypothesizer

中央銀行は、国債を買うことで、お金を政府に届けるのだろう?

-Rebutter

私が知る限り、それが、検討されている主要な計画のようだ。

-Hypothesizer

しかし、国債を買うというのは、お金をあげることではない。お金を国債と交換しているだけだ。

-Rebutter

財政ファイナンスは、中央銀行が国債を直接買うことだが、それは、それ自体でヘリコプターマネーなわけではない。政府は、ただお金を得るのではなく、負債も得るのだ。

-Hypothesizer

中央銀行は子会社だから、政府は中央銀行に負債の返済も利子の支払いもしなくてすむのだという主張を聞いた。それは正しくないだろう?

-Rebutter

バイアス惑星ではそうなのか?そうではないと思うが。中央銀行の政府からの独立性は、バイアス惑星でも必要だと考えられており、政府は、中央銀行への負債を気ままに踏み倒してよいわけではない。利子については、中央銀行が自分の利益を政府に渡すのは事実であり、政府が中央銀行に支払った利子はどのみち政府に戻されるのだと考えるかもしれないが、常に、そうなるわけではないだろう。ヘリコプターマネーがゆえに中央銀行が損失を被れば、利益が残らないから、政府が支払った利子は政府に戻ってこないだろう。いくら政府でも、約束した利子を支払わなくてよいわけではないだろう。

-Hypothesizer

政府は、中央銀行と結託して、無利子の国債を発行するかもしれない。

-Rebutter

そうかもしれないし、とてもそうしそうだが、それは別問題だ。私が言ったのは、中央銀行が国債を買うことが、自動的に、政府が利子を支払わなくてもいいことにはならないということだ。無利子の国債は、無利子だから無利子なのであって、中央銀行がそれを買ったからそうなのではない。

-Hypothesizer

うーん、財政ファイナンスがヘリコプターマネーであるためには、国債は、返済期限なしの永久国債でなければならない。ただ通常の国債を買うのはヘリコプターマネーではないが、国債を買って、返済を永久に求めないのは、ただお金をあげたのと何も変わらない。. . . しかし、「永久国債」というのはインチキくさい . . .。借り主が返さなくてもよい借金など全然借金じゃない。自己矛盾だ。

-Rebutter

実のところ、あからさまに永久国債である必要もない。政府が満期の国債の支払いをできるように、中央銀行が永久に新たな国債を買い続ければ、ほとんど同じことだ。もちろん、中央銀行には、新たな国債を買うのをやめるという少なくとも名目上の選択肢が残されるから、厳密に同じなわけではない。しかし、中央銀行に、そうする本当の選択肢も意図も全然ないなら、実質的に同じことだ。

-Hypothesizer

それで、中央銀行は、それはヘリコプターマネーではないと言い張るわけか?汚いやつらだ . . .

それに、中央銀行は、直接にしろ間接にしろ、既に国債をQEで買っている。国債は、ただ一時的に金融機関の手を経由しているだけだ。それは、財政ファイナンスではないのか?

-Rebutter

もし、国債がただ形式のためにだけ金融機関の手を経由しているのであれば、それは実質的に既に財政ファイナンスだろう。中央銀行や政府が何と主張しようとも。

-Hypothesizer

ただ形式のためだけなのかどうかどうすれば判断できるのだろうか?

-Rebutter

金融機関が、国債を、ただ中央銀行がより高く買ってくれるという予期だけのために買っているのであれば、それは、財政ファイナンスだろう。

-Hypothesizer

ああ、つまり、中央銀行は、金融機関に国債を無理に買わせているのであって、金融機関が自然に買った国債を買っているのではない。

-Rebutter

まあ、金融機関は、利益が得られるから喜んで無理に買わされているのだが、君の言わんとするところは分かる。

ヘリコプターマネーは財政ファイナンスとどう関係するのか

-Hypothesizer

ヘリコプターマネーは必ずしも財政ファイナンスではないだろう?たとえ、財政ファイナンスはヘリコプターマネーの主要な手段だとしても。

-Rebutter

中央銀行は、QEで金融機関から資産を高すぎる価格で買う時、実質上、そうした金融機関にお金をあげている。それは、ヘリコプターマネーそのものだろう。中央銀行がどう主張しようとも。

-Hypothesizer

それでは、QEは既に、暗に、ヘリコプターマネーをばらまいている。

それに、一度の財政ファイナンスはヘリコプターマネーではないが、恒久的な財政ファイナンスはそうだ。

-Rebutter

それが我々の理解だ。

財政ファイナンスの本当のリスクは何か?

-Hypothesizer

財政ファイナンスを推す人々もいるし、財政ファイナンスをしないようにと警告する人々もいる。どちらが正しいのだろうか?

-Rebutter

ああ、 . . .

-Hypothesizer

ああ?

-Rebutter

重要な、予期できない要素は、人々による非理性的な反応だ。結局のところ、結果は、あいまいな、いわゆる、人々が感じる金融システムの「信頼性」に依存する。よくある警告は、金融システムの信頼性が損なわれるだろうというものだ。

-Hypothesizer

ああ、そのいつものあいまいな主張か。. . . それは、ただ人々が無知だというだけのことではないのか?財政ファイナンスの提唱者が主張するのは、財政ファイナンスは問題ではないということだ。もしそうならば、人々にそう教育することで、いわゆる「信頼性」へのダメージを防げないのか?

-Rebutter

実際のところ、経済は、無知な人々の反応に基づいて動く。人々が啓蒙されたという仮定に基づいた理論は思考実験として興味深いかもしれないが、現実を反映するという期待は持てない。

-Hypothesizer

ああ、結局、無知な人々が非理性的に反応すれば、財政ファイナンスの提唱者の理論が基本的に正しくても、問題は起こる。

-Rebutter

人々が無知で非理性的に行動するだろうと、我々は仮定しなければならないだろう。

-Hypothesizer

インフレーションが起きるだろうというのは理解できる。しかし、お金の価値が半分になるとして、各人が等倍に倍のお金を持つのであれば、問題はない。誰も損はしない。しかし、なぜ、ハイパーインフレーションが起きなければならないのか?なぜ、お金の価値が、1/10、1/100、1/1000、などにならなければならないのか?

-Rebutter

詳細なメカニズムは別にして、簡単に言えば、「信頼性」が損なわれて、人々が過剰反応するからだ。経済システムがあいまいな「信頼性」に依存する限りは、人々が、無知、直感への信頼、気まぐれ、その他何のためであろうが「信頼性」を疑えば、問題は起きる。

-Hypothesizer

財政ファイナンスが「信頼性」を損なうと警告する人々は、ただ「信頼性」のダメージを自ら引き起こしているだけじゃないのか?

-Rebutter

それは、ニワトリが先か卵が先かの問題だ。もし君が警告を控えても、他の人々が警告を続けるだろうし、「信頼性」のダメージは起きるだろう。すると、結局、良心的責務として、君は警告すべきだということになる。だって、実際に起きるのだから。

-Hypothesizer

ふーむ . . .

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