2017年6月17日土曜日

5: QEは問題ないのか?、パート2

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債務超過は中央銀行にとって問題なのか?

-Hypothesizer

「中央銀行は多額の損失をこうむっても平気なのかもしれない、または意図的に損失をこうむるつもりなのかもしれない。」というのはどういう意味なのか?

-Rebutter

文が文字通り言ってる意味だ。

-Hypothesizer

. . . いくら中央銀行でも、多額の損失をこうむれば債務超過になるのではないか?

-Rebutter

もちろんなるだろう。それは数学的に避けられないことだ。

-Hypothesizer

それで問題ないのか?

-Rebutter

それがどう問題なのか私には理解できないんだよ。. . . ある実体が期日までに負債を返済できれば、その実体はデフォルトはせず、だれも困らないだろう。私企業では、債務超過は致命的だ。おそらく誰もお金を貸さないだろうからだ。

-Hypothesizer

だから、デフォルトするわけだ。

-Rebutter

他方、中央銀行は決してデフォルトしない。というのも、新しく紙幣を発行することでいくらでも自分にお金を貸せるからだ。

-Hypothesizer

うーん、すると、実体が必要なだけお金を借りられれば債務超過は問題ないわけか?

-Rebutter

何故問題なのか私は理解できないんだよ。

-Hypothesizer

ふーむ . . .

-Rebutter

誤解しないでほしい。紙幣は中央銀行にとって負債だから、紙幣を発行しても中央銀行の負債は全然無くならない。しかし、とにかく、中央銀行は決してデフォルトしないだろう。

-Hypothesizer

決してデフォルトしないというのは分かるのだが、だからといって、誰も困らないということになるのか?

-Rebutter

誰かが困らなければならないというのが私にはただ理解できないんだよ。誰かが困らなければならないのであれば、お願いだから、そのメカニズムを教えてくれ。

-Hypothesizer

ふーむ . . .

ヘリコプターマネーのことを考えてみよう

-Rebutter

ヘリコプターマネーのことを聞いたことがあるだろう?

-Hypothesizer

ああ、ある。本当にお金をばらまくんだ。

-Rebutter

中央銀行が本当に紙幣をばらまくと仮定しよう。国家間の相互作用を考慮すると事が複雑になるから、我々の国は世界の他の部分から完全に隔離されていると仮定しよう。開かれた国の場合には事が違ってくることは分かっているが、この仮定は議論のための意味ある土台にはなるだろう。

-Hypothesizer

オーケー。

-Rebutter

紙幣が、国全体のお金におけるこの国の各実体が保有するお金の割合が変わらないようにばらまかれると仮定しよう。

-Hypothesizer

うーん、例えば、3つの実体、EA、EB、ECだけが存在し、それらがそれぞれ10000円、5000円、1000円を持っている場合、中央銀行は、それぞれに10000円、5000円、1000円をあげる。

-Rebutter

そう。中央銀行の元の純資産が0円だったとすると、今は、中央銀行は16000円の債務超過になった。

-Hypothesizer

そのようだ。

-Rebutter

それで、誰が困っている?

-Hypothesizer

うーん、 . . . インフレーションが起こるんじゃないのか?

-Rebutter

起こるかもしれないし、起こらないかもしれない。お金の総額が2倍になったからお金の価値が半減するというほど単純ではない。しかし、議論上、お金の価値が半減したと仮定しよう。それで、誰が困っている?

-Hypothesizer

うーん、お金1単位の価値は半分になったが、みんなが倍のお金を持っているので、誰も得も損もしてないようだ。ただお金の単位が変わっただけだ。

-Rebutter

すると、中央銀行は債務超過になっているが、だれも困らないわけだ。

-Hypothesizer

ヘリコプターマネーというのは本質的に中央銀行が損失をかぶる政策だから、中央銀行がヘリコプターマネーをばらまけば、確かに、意図的に損失をこうむっている。

中央銀行の純資産は何を意味しているのか?

-Hypothesizer

中央銀行のお金はその国の国民のお金だから中央銀行の損失は国民の損失だ、誰かが言っていた。それは正しいのだろうか?

-Rebutter

先ほどの隔離された国のモデルでは、中央銀行はお金を国のその他の部分に対して失った。このその他の部分というのはその国の国民にあたる。

-Hypothesizer

ふーむ、つまり、国民は、中央銀行のバランスシート上でお金を失ったが、個人のバランスシート上で同額のお金を得たわけだ。全体としては、国民は、損も得も全然していない。

-Rebutter

隔離された国のモデルでは、中央銀行の債務超過は、そのお金が個人の勘定に移転されたことを示すにすぎない。

-Hypothesizer

すると、特に問題ではないのか?

-Rebutter

隔離された国のモデルでは、中央銀行の損失は国民の利得だから、全体としては、問題はないと思うね。しかし、どのようにお金が分配されたかが重要だ。先の例では、我々は、国内全体のお金における国の各実体が保持するお金の割合が変わらないものと仮定した。そうでなければ、一部の人がインフレーションによって損失を被るだろう。

-Hypothesizer

お金の全体量が倍になればお金の価値が半分になると単純化すれば(そうではないことは知っている)、お金の全体量は問題でなく、お金の分配が問題なのだ。

-Rebutter

開かれた国のモデルでは、中央銀行が外国の人々に対してお金を失ったら、そこにはまた別の問題がある。

-Hypothesizer

中央銀行の債務超過は、その根底にある問題の現れであるかもしれないが、少なくとも、それ自体として特に問題だというわけではないようだ。

中央銀行の債務超過はどう対処されるのか?

-Hypothesizer

すると、中央銀行の債務超過はそのまま放置されるのだろうか?

-Rebutter

この文書によると、そうではないようだ。この文書は、債務超過は中央銀行の評判と信頼性を傷つけるので、政府が損失を埋めるであろうと言っている。

-Hypothesizer

「評判と信頼性を傷つける」というのは、ばくぜんとした概念だ。. . . つまりは、中央銀行の債務超過が問題ないことを理解しないほど人々が無知だというだけではないのか?

-Rebutter

中央銀行の債務超過がただ漠然と中央銀行の評判と信頼性を傷つけるという以上に問題だと説明する理論を私は見つけることができなかった。

中央銀行は既にヘリコプターマネーをばらまいている

-Hypothesizer

QEで中央銀行が被る損失は、実質的にヘリコプターマネーそのものだろう。例えば、中央銀行がある資産を10,000円で買い5,000円で売るとする。中央銀行は、ややこしいことをしているが、つまりは、5,000円をただあげたんだ!

-Rebutter

公然とあげるのとあげざるを得なくなるのとに違いはあるが、結果は同じようだ。どちらにしろ、お金の分配の公平さが問題になる。

-Hypothesizer

というより、お金の配分を変えないように分配するのは、ただお金の価値を下げるだけになり、効果的でないかもしれない。むしろ、ものを買おうとする人々だけにお金を渡すのが効果的に思われる。

-Rebutter

そうかもしれない。私が見る限り、QEがとても効果的であったとは考えられておらず、お金を適切な人々に渡していないのがその原因なように思われる。

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