バイアス惑星のいくつかの国はQEを行なっている。量的緩和というやつだ。
ははあ。
QEはとても疑わしく見える。問題ないのか?
問題ないのかとただ聞かれても、そんな漠然とした質問には答えられない。それの何が疑わしいのか?
お金をただばらまいているように思える。よからぬ利益を誰か得てはいないのか?
お金をただばら撒いてはいない。中央銀行は金融市場で資産を買うのだ。そこには大きな違いがある。
何が違うのだ?
違いを知るには、QEで何が起きるかを知らなければならない。
そう、それを知りたい。今すぐ知らせてくれ!
. . . うーん、例えば、保険会社が1万円相当の国債を持っているとする。
オーケー。
中央銀行は、この保険会社から国債を買う。保険会社は中央銀行に口座を持っていないから(商業銀行は中央銀行に口座を持っているが、保険会社は持っていないことに注意)、保険会社は、国債の売却代金をある商業銀行に対する預金として受け取る。この商業銀行は代わりに、1万円を中央銀行に対する預金(中央銀行への準備預金)として受け取る。
保険会社にとっては、-1(国債) +1(預金としての商業銀行への債権) = 0万円。
商業銀行にとっては、-1(預金としての保険会社への債務) + 1(準備預金としての中央銀行への債権) = 0万円。
中央銀行にとっては、+1(国債) -1(準備預金としての商業銀行への債務) = 0万円。
ああ、それでは、QEは誰の純資産も変えないわけだ。しかし、それで意味があるのか?つまり、保険会社は国債の代わりに商業銀行への預金を得て、商業銀行は預金としての保険会社への債務と準備預金としての中央銀行への債権を持った。だから何だ?それが経済のために良いのか?
そうらしい。
うーん、それでは、誰かが資産を持つその資産の形態が重要だということか。国債を持っている者は何も買わないが、お金を持っているものは何か買うんじゃないかということか?それがねらいなのか?
QEが経済を改善すると想定されている詳細なメカニズムは知らないが、おそらく、そうした効果がメカニズムの一要素だろう。
それでは、誰もQEでよからぬ利益を得ていないのか?
よからぬかどうかは別にして、利益を得ている人々はいる。中央銀行が資産を大量に買うから、そうした資産の価格が上がりがちになる。そのため、そうした資産を取引して利益を得る人々がいる。
ああ、そうだろうね。しかし、いわれのない損失をこうむる人はいないのか?
いわれがないかどうかは別にして、損失をこうむる可能性のある人々はいる。QEで意図するようにインフレーションが実現すれば、資産をお金として保持する人々は損失をこうむるだろう。収入がインフレーションに見合うだけ上がらない労働者や年金生活者も損失をこうむるだろう。
そうだと思ったよ。
QEに対する別の疑念は、それが持続可能ではないのではないかといういうことだ。
中央銀行がQEを永遠に続けることができるかと聞いているのなら、政府が新しい国債を大量に発行し続ける限りそうできるかもしれない。中央銀行は、例えば保険会社が買った新しい国債を買い続ける。
すると、国債の全てかほとんどが中央銀行に保有されるわけだ。
そういう可能性はある。しかし、もちろん、QEは、長い間続けるよう意図されたものではない。
では、中央銀行はそのうち、買った資産を売らなければならない。そうするときに問題はないのか?
中央銀行がそうした資産を売る時は、そうした資産の価格が下がるのが自然、もしくは不可避ではないのか?つまり、資産の売りがそうした資産の価格を押し下げるのではないのか?
まず、中央銀行は、それらの国債を満期まで持つことができる。
日本銀行は額面額より高い価格で国債を買っていると聞いたが。
その場合、中央銀行は国債を満期まで保有することで損失を避けることができない。
それに、もし名目額で損失をこうむらなくても、QEのおかげでインフレーション率が高いから実質額で損失をこうむるだろう。
そうかもしれない。
それに、債権ではない資産の場合、その戦略は取れない。
そうだろう。しかし、その反面、それらの資産の価格が高くなるまで十分長く保持できるかもしれない。
ふーむ、 . . . 中央銀行はQEで不自然に押し上げられた価格で資産を買ったから、中央銀行がその価格以上で売れるというのは疑わしい。絶対にできないとは言わないが、できると信じるというのはただの希望的観測に思える。
株式については、市場が全体として成長し続けると仮定するのであれば損失を避けられるかもしれない。債権については、いくらか損失が出るのをどうやって避けられるのか私は知らない。
可能性として、多額の損失をこうむる可能性がある!
可能性はある。
中央銀行が多額の損失をこうむったら何が起きるんだ?
中央銀行は多額の損失をこうむっても平気なのかもしれない、または意図的に損失をこうむるつもりなのかもしれない。
はあ?