2023年9月10日日曜日

362: 2つのデデキントカットたちの間にラショナル(有理)およびイラショナル(無理)デデキントカットたちがある

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2つのデデキントカットたちの間にラショナル(有理)およびイラショナル(無理)デデキントカットたちがあることの記述/証明

話題


About: セット(集合)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、任意の2つのデデキントカットたちに対して、それらの間にあるラショナル(有理)デデキントカットおよびあるイラショナル(無理)デデキントカットたちがあるという命題の記述および証明を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義の一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題の一覧があります。


本体


1: 記述


以下を満たす任意のデデキントカットたち\(\tilde{r_1}, \tilde{r_4}\)、つまり、\(\tilde{r_1} \subset \tilde{r_4}\)、に対して、以下を満たすあるラショナル(有理)デデキントカット\(\tilde{r_2}\)、つまり、\(\tilde{r_1} \subset \tilde{r_2} \subset \tilde{r_4}\)および以下を満たすあるイラショナル(無理)デデキントカット\(\tilde{r_3}\)、つまり、\(\tilde{r_1} \subset \tilde{r_3} \subset \tilde{r_4}\)、がある。


2: 証明


注意として、任意のラショナルナンバー(有理数)に対して、\(r\)は当該ラショナルナンバー(有理数)をラショナルナンバー(有理数)とみなしたものを表わす; \(\tilde{r}\)は\(r\)のデデキントカットをリアルナンバー(実数)とみなしたものを表わす; 任意のイラショナルナンバー(無理数)は常に\(\tilde{r}\)と表わされる、なぜなら、それは、常にデデキントカットとしてのものである。

以下を満たすあるラショナルナンバー(有理数)\(q_2\)、つまり、\(q_2 \notin \tilde{r_1}\)かつ\(q_2 \in \tilde{r_4}\)、がある。以下を満たすあるラショナルナンバー(有理数)\(q'_2\)、つまり、\(q_2 \lt q'_2 \in \tilde{r_4}\)、がある、なぜなら、\(\tilde{r_4}\)は最大エレメント(要素)を持たない、デデキントカットの定義によって。\(\tilde{q'_2} = \{q \in \mathbb{Q}\vert q \lt q'_2\}\)。\(\tilde{q'_2} \subset \tilde{r_4}\)、なぜなら、\(\tilde{r_4}\)は\(q'_2\)より小さい全てのラショナルナンバー(有理数)たちを包含しているが、\(q'_2\)は\(\tilde{r_4}\)だけに包含されている。\(\tilde{r_1} \subset \tilde{q'_2}\)、なぜなら、\(\tilde{q'_2}\)は\(\tilde{r_1}\)より小さい全てのラショナルナンバー(有理数)たちを包含しているが、\(q_2\)は\(\tilde{q'_2}\)だけに包含されている。\(\tilde{r_2}\)は\(\tilde{q'_2}\)と取れる。

これ以降に繰り返し使われる事実として、以下を満たす任意のリアルナンバー(実数)たち\(\tilde{r}, \tilde{r'}\)、つまり、\(0 \leq \tilde{r} \lt \tilde{r'}\)、に対して、以下を満たすあるラショナルナンバー(有理数)\(q\)、つまり、\(\tilde{r} \lt \tilde{q}^2 \lt \tilde{r'}\)、がある、なぜなら、\(\sqrt{\tilde{r}} \lt \sqrt{\tilde{r'}}\)(スクウェアルート(平方根)たちの存在は事前想定されている)、そして、以下を満たすあるラショナルナンバー(有理数)\(q\)、つまり、\(\sqrt{\tilde{r}} \subset \tilde{q} \subset \sqrt{\tilde{r'}}\)、がある、前パラグラフによって、そして、\(\sqrt{\tilde{r}} \sqrt{\tilde{r}} \subset \tilde{q} \tilde{q} \subset \sqrt{\tilde{r'}} \sqrt{\tilde{r'}}\)、したがって、\(\tilde{r} \lt \tilde{q}^2 \lt \tilde{r'}\)。

以下を満たすあるデデキントカット\(\tilde{r_3}\)、つまり、\(\tilde{r_1} \subset \tilde{r_3} \subset \tilde{r_2}\)、を見つけよう。

\(0 \lt \tilde{r_2}\)であると仮定しよう。もしも、\(\tilde{r_1} \lt 0\)であれば、\(\tilde{r'_1} = 0\)を取る、そうでなければ、\(\tilde{r'_1} = \tilde{r_1}\)、したがって、\(0 \leq \tilde{r'_1} \lt \tilde{r_2}\)。 以下を満たすあるポジティブ(正)ラショナルナンバー(有理数)\(q_3\)、つまり、\({\tilde{r'_1}}^2 \lt 2 {\tilde{q_3}}^2 \lt {\tilde{r_2}}^2\)、がある、なぜなら、それは、\(\frac{{\tilde{r'_1}}^2}{2} \lt {\tilde{q_3}}^2 \lt \frac{{\tilde{r_2}}^2}{2}\)と等価である。そこで、\(\tilde{r_3} := \{q \in \mathbb{Q}\vert (q \lt 0) \lor (0 \leq q \land q^2 \lt 2 {q_3}^2)\}\)を定義する。

\(\tilde{r_3}\)はデデキントカットである、なぜなら、\(\tilde{r_3} \neq \emptyset\)かつ\(\tilde{r_3} \neq \mathbb{Q}\)、そして、もしも、\(q' \in \tilde{r_3}\)であれば、任意の\(q'' \lt q'\)に対して、\(q'' \in \tilde{r_3}\)、そして、\(\tilde{r_3}\)は最大エレメント(要素)を包含しない(以下を満たす任意の\(q'\)、つまり、\(q'^2 \lt 2 {q_3}^2\)、に対して、以下を満たすある\(q''\)、つまり、\(q'^2 \lt q''^2 \lt 2 {q_3}^2\)、がある)。\(\tilde{r_3}\)のコンプリメント(補集合)は\(\{q \in \mathbb{Q}\vert 0 \leq q \land 2 {q_3}^2 \leq q^2\}\)、それは、最小エレメント(要素)を持たない、\(2 {q_3}^2 = q^2\)を満たす\(q\)はないから( 以下を満たす任意の\(q'\)、つまり、\(2 {q_3}^2 \lt q'^2\)、に対して、以下を満たすある\(q''\)、つまり、\(2 {q_3}^2 \lt q''^2 \lt q'^2\)、がある)、それが意味するのは、\(\tilde{r_3}\)はイラショナルナンバー(無理数)であるということ。

\(\tilde{r'_1} \subset \tilde{r_3} \subset \tilde{r_2}\)、なぜなら、\(\tilde{r'_1} \subseteq \tilde{r_3} \subseteq \tilde{r_2}\)は明らかである一方、以下を満たす\(q', q''\)、つまり、\(\tilde{r'_1}^2 \lt \tilde{q'}^2 \lt \tilde{r_3}^2 \lt \tilde{q''}^2 \lt \tilde{r_2}^2\)、があり、\(q' \notin \tilde{r'_1}\)、\(q' \in \tilde{r_3}\)、\(q'' \notin \tilde{r_3}\)、\(q'' \in \tilde{r_2}\)。

\(\tilde{r_2} \leq 0\)であると仮定しよう。すると、\(\tilde{r_1} \lt \tilde{r_2} \leq 0\)。以下を満たすあるネガティブ(負)ラショナルナンバー(有理数)\(q_3\)、つまり、\({\tilde{r_2}}^2 \lt 2 {\tilde{q_3}}^2 \lt {\tilde{r_1}}^2\)、がある。そこで、\(\tilde{r_3} := \{q \in \mathbb{Q}\vert q \leq 0 \land 2 {q_3}^2 \lt q^2\}\)と定義する。

\(\tilde{r_3}\)はデデキントカットである、なぜなら、\(\tilde{r_3} \neq \emptyset\)かつ\(\tilde{r_3} \neq \mathbb{Q}\)、そして、もしも、\(q' \in \tilde{r_3}\)であれば、任意の\(q'' \lt q'\)に対して、\(q'' \in \tilde{r_3}\)、そして、\(\tilde{r_3}\)は最大エレメント(要素)を包含しない(以下を満たす任意の\(q'\)、つまり、\(2 {q_3}^2 \lt q'^2\)、に対して、以下を満たすある\(q''\)、つまり、\(2 {q_3}^2 \lt q''^2 \lt q'^2\)、がある)。\(\tilde{r_3}\)のコンプリメント(補集合)は\(\{q \in \mathbb{Q}\vert (0 \lt q) \lor (q \leq 0 \land q^2 \leq 2 {q_3}^2)\}\)、それは、最小エレメント(要素)を持たない、\(q^2 = 2 {q_3}^2\)を満たす\(q\)はないから( 以下を満たす任意の\(q'\)、つまり、\(q'^2 \lt 2 {q_3}^2\)、に対して、以下を満たすある\(q''\)、つまり、\(q'^2 \lt q''^2 \lt 2 {q_3}^2\)、がある)、それが意味するのは、\(\tilde{r_3}\)はイラショナルナンバー(無理数)であるということ。

\(\tilde{r_1} \subset \tilde{r_3} \subset \tilde{r_2}\)、なぜなら、\(\tilde{r_1} \subseteq \tilde{r_3} \subseteq \tilde{r_2}\)は明らかである一方、以下を満たすあるネガティブ(負)\(q', q''\)、つまり、\(\tilde{r_2}^2 \lt \tilde{q'}^2 \lt \tilde{r_3}^2 \lt \tilde{q''}^2 \lt \tilde{r_1}^2\)、があり、\(q'' \notin \tilde{r_1}\)、\(q'' \in \tilde{r_3}\)、\(q' \notin \tilde{r_3}\)、\(q' \in \tilde{r_2}\)。


参考資料


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