2024年6月2日日曜日

606: ベクトルの、共通の構成要素を持つ2つのディコンポジション(分解)たちに対して、共通構成要素の係数たちは同一である、もしも、共通構成要素が、他の構成要素たちによってスパンされる(張られる)ベクトルたちスペース(空間)上にない場合

<このシリーズの前の記事 | このシリーズの目次 | このシリーズの次の記事>

ベクトルの、共通の構成要素を持つ2つのディコンポジション(分解)たちに対して、共通構成要素の係数たちは同一である、もしも、共通構成要素が、他の構成要素たちによってスパンされる(張られる)ベクトルたちスペース(空間)上にない場合、ことの記述/証明

話題


About: ベクトルたちスペース(空間)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、任意のベクトルの、共通の構成要素を持つ任意の2つのディコンポジション(分解)たちに対して、共通構成要素の係数たちは同一である、もしも、共通構成要素が、他の構成要素たち全てによってスパンされる(張られる)ベクトルたちスペース(空間)上にない場合、という命題の記述および証明を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義たちの一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題たちの一覧があります。


本体


1: 構造化された記述


ここに'構造化された記述'のルールたちがある

エンティティ(実体)たち:
\(F\): \(\in \{\text{ 全てのフィールド(体)たち }\}\)
\(V\): \(\in \{\text{ 全ての } F \text{ ベクトルたちスペース(空間)たち }\}\)
\(v_1\): \(\in V\)
\(\{v_2, ..., v_k, v'_2, ..., v'_l\}\): \(\subseteq V\)
\(v\): \(= t^1 v_1 + t^2 v_2 + ... + t^k v_k = t'^1 v_1 + t'^2 v'_2 + ... + t'^l v'_l \in V\)
\(V'\): \(= \text{ によってスパンされる(張られる)ベクトルたちスペース(空間) } \{v_2, ..., v_k, v'_2, ..., v'_l\}\), \(\subseteq V\)
//

ステートメント(言明)たち:
\(v_1 \notin V'\)
\(\implies\)
\(t^1 = t'^1\)
//


2: 自然言語記述


任意のフィールド(体)\(F\)、任意の\(F\)ベクトルたちスペース(空間)\(V\)、任意の\(v_1 \in V\)、任意の\(\{v_2, ..., v_k, v'_2, ..., v'_l\} \subseteq V\)、任意の\(v = t^1 v_1 + t^2 v_2 + ... + t^k v_k = t'^1 v_1 + t'^2 v'_2 + ... + t'^l v'_l \in V\)、\(\{v_2, ..., v_k, v'_2, ..., v'_l\}\)によってスパンされる(張られる)ベクトルたちスペース(空間)\(V' \subseteq V\)に対して、もしも、\(v_1 \notin V'\)である場合、\(t^1 = t'^1\)である。


3: 注


\(\{v_2, ..., v_k\}\)も\(\{v'_2, ..., v'_l\}\)もリニア(線形)にインディペンデント(独立)である必要はない。

\(V = \mathbb{R}^2\)、\(v_1 = (0, 1)\)、\(v_2 = (1, 0)\)、\(v'_2 = (1, - 1)\)である時、\(v = (1, 1) = 1 v_1 + 1 v_2 = 2 v_1 + v'_2\)、したがって、\(t^1 \neq t'^1\): \(v_1\)の係数は第2の構成要素の選択、\(v_2\)または\(v'_2\)、に依存する。

\(V = \mathbb{R}^3\)、\(v_1 = (0, 0, 1)\)、\(v_2 = (1, 0, 0)\)、\(v_3 = (0, 1, 0)\)、\(v'_2 = (a, b, 0)\)、\(v'_3 = (c, d, 0)\)(\(a d - b c \neq 0\)であると仮定する)である時、\(v = (1, 1, 1) = 1 v_1 + 1 v_2 + 1 v_3 = 1 v_1 + 1 / (a d - b c) (d - c) v'_2 + 1 / (a d - b c) (-b + a) v'_3\)、したがって、必ず\(t^1 = t'^1\)。

何が違うのか?\(v_1\)が、\(v_2, v_3, v'_2, v'_3\)がある\(x - y\)平面へ垂直だからなのか?違う(つまり、それは厳しすぎる要求である): \(v_1 = (1, 0, 1)\)と取ろう、それは\(x - y\)平面へ垂直ではない、しかし、それでも、必ず\(t^1 = t'^1\)である、なぜなら、\(z\)コンポーネントは\(v_1\)からのみ寄与を受けるのであり、\(t^1 = t'^1\)が、\(z\)コンポーネントが正しくあるために要求される。

そもそも、'垂直'というコンセプトはあるインナープロダクト(内積)を要求する、しかし、私たちはなぜインナープロダクト(内積)を必要とするのか?

実のところ、違いは、第1のケースに対しては、\(v_1\)は、\(v_2, v'_2\)によってスパンされる(張られる)ベクトルたちスペース(空間)上にあり、その一方、第2のケース(\(v_1\)が\(x - y\)平面に対して垂直でない時を含め)に対しては、\(v_1\)は、\(v_2, v_3, v'_2, v'_3\)によってスパンされる(張られる)ベクトルたちスペース(空間)上にない、ということである。


4: 証明


\(v_1 \notin V'\)だと仮定しよう。

\(t^1 v_1 + t^2 v_2 + ... + t^k v_k = t'^1 v_1 + t'^2 v'_2 + ... + t'^l v'_l\)は、\(t^1 v_1 - t'^1 v_1 = (t^1 - t'^1) v_1 = - t^2 v_2 - ... - t^k v_k + t'^2 v'_2 + ... + t'^l v'_l\)を含意する。\(v_1\)は\(V'\)上にないので、\(t^1 - t'^1 = 0\): そうでなければ、\(v_1 = 1 / (t^1 - t'^1) (- t^2 v_2 - ... - t^k v_k + t'^2 v'_2 + ... + t'^l v'_l)\)、矛盾。


参考資料


<このシリーズの前の記事 | このシリーズの目次 | このシリーズの次の記事>