2025年1月12日日曜日

948: マルチリニアマップ(多重線形写像)は必ずしもリニア(線形)ではない

<このシリーズの前の記事 | このシリーズの目次 | このシリーズの次の記事>

マルチリニアマップ(多重線形写像)は必ずしもリニア(線形)ではないことの記述/証明

話題


About: モジュール(加群)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、マルチリニアマップ(多重線形写像)は必ずしもリニア(線形)ではないという命題の記述および証明を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義たちの一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題たちの一覧があります。


本体


1: 構造化された記述


ここに'構造化された記述'のルールたちがある

エンティティ(実体)たち:
R: { 全てのリング(環)たち }
{M1,...,Mk}: { 全ての R モジュール(加群)たち } where 2k
M1×...×Mk: = 当該プロダクトモジュール(加群) 
M: { 全ての R モジュール(加群)たち }
f: :M1×...×MkM, { 全てのマルチリニアマップ(多重線形写像)たち }
//

ステートメント(言明)たち:
必ずしも以下ではない、f{ 全てのリニアマップ(線形写像)たち }
//


2: 注


本命題は当然のものかもしれず、事実、そうであるのだが、これは、"マルチリニア(多重線形)"の"リニア(線形)"部分に惑わされて不注意による誤りを犯さないようにするための注意喚起である。

勿論、リニア(線形)であるマルチリニアマップ(多重線形写像)たちもある: 任意の0マップ(写像)はそうである。


3: 証明


全体戦略: ステップ1: 1つの反例を見る。

ステップ1:

1つの反例で十分である。

R=RM1×...×Mk=R×RM=Rf:R×RR,(v1,v2)v1.v2としよう、それは、通常のインナープロダクト(内積)である。

実のところ、本ケースでは、Rはフィールド(体)、M1×...×MkおよびMはベクトルたちスペース(空間)たち、fはベクトルたちスペース(空間)たち間マップ(写像)である、しかし、いずれにせよ、任意のフィールド(体)はリング(環)、任意のベクトルたちスペース(空間)はモジュール(加群)、ベクトルたちスペース(空間)間の任意のマップ(写像)はモジュール(加群)間マップ(写像)である。

fは本当にマルチリニアマップ(多重線形写像)であることを見よう。

f((rv1+rv1,v2))=(rv1+rv1).v2=rv1.v2+rv1.v2=rf(v1,v2)+rf(v1,v2); f((v1,rv2+rv2))=v1.(rv2+rv2)=rv1.v2+rv1.v2=rf(v1,v2)+rf(v1,v2)

fはリニア(線形)でないことを見よう。

f(r(v1,v2))=f((rv1,rv2))=r2v1.v2=r2f(v1,v2)、しかし、r0かつr1である時、r2r、そして、v1,v20である時(それが含意するのは、f((v1,v2))0)、r2f(v1,v2)rf(v1,v2)、なぜなら、もしも、r2f(v1,v2)=rf(v1,v2)である場合、r2f(v1,v2)rf(v1,v2)=0、しかし、=(r2r)f(v1,v2)、それが含意するのは、f(v1,v2)=(r2r)1(r2r)f(v1,v2)=(r2r)10=0、矛盾。


参考資料


<このシリーズの前の記事 | このシリーズの目次 | このシリーズの次の記事>