2025年2月16日日曜日

1006: セット(集合)上のフリーベクトルたちスペース(空間)

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セット(集合)上のフリーベクトルたちスペース(空間)の定義

話題


About: ベクトルたちスペース(空間)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、セット(集合)上のフリーベクトルたちスペース(空間)の定義を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義たちの一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題たちの一覧があります。


本体


1: 構造化された記述


ここに'構造化された記述'のルールたちがある

エンティティ(実体)たち:
\( S\): \(\in \{\text{ 全てのセット(集合)たち }\}\)
\( F\): \(\in \{\text{ 全てのフィールド(体)たち }\}\)
\(*F (S, F)\): \(= \{f: S \to F \in Pow (S \times F) \vert f^{-1} (F \setminus \{0\}) \in \{\text{ 全てのファイナイト(有限)セット(集合)たち }\}\}\)で、下で指定されるアディション(加法)およびスカラーマルチプリケーション(乗法)を持つもの、\(\in \{\text{ 全ての } F \text{ ベクトルたちスペース(空間)たち }\}\)
//

コンディションたち:
\(\forall f_1, f_2 \in F (S, F) (f_1 + f_2: s \mapsto f_1 (s) + f_2 (s))\)
\(\land\)
\(\forall r \in F, \forall f \in F (S, F) (r f: s \mapsto r f (s))\)
//


2: 注


"\(F (S, F)\)"中の初めの"\(F\)"はフィールド(体)\(F\)を意味せず、"Free"の短縮である。したがって、当該フィールド(体)が\(\mathbb{R}\)である時は、それは、\(F (S, \mathbb{R})\)になる。

ある\(f\)はしばしば\(r^1 s_1 + ...+ r^k s_k\)と記される、ここで、\(r^j \in F\)および\(s_j \in S\)、それが意味するのは、\(f (s_j) = r^j\)および\(f (s) = 0\)、任意の\(s \notin \{s_1, ..., s_k\}\)に対して。当該表現はコミュータティブ(可換)である: \(r^1 s_1 + r^2 s_2+ r^3 s_3 = r^2 s_2 + r^1 s_1 + r^3 s_3 = ...\)、なぜなら、それは\(f\)を全く変更しない。

当該オペレーションたちは本当にウェルデファインド(妥当に定義された)である: \((f_1 + f_2)^{-1} (F \setminus \{0\}) \in \{\text{ 全てのファイナイト(有限)セット(集合)たち }\}\)および\((r f)^{-1} (F \setminus \{0\}) \in \{\text{ 全てのファイナイト(有限)セット(集合)たち }\}\)、明らかに。

\(F (S, F)\)は本当に\(F\)ベクトルたちスペース(空間)であることを見よう。

1) 任意の要素たち\(v_1, v_2 \in F (S, F)\)に対して、\(v_1 + v_2 \in F (S, F)\)(アディション(加法)の下で閉じていること): 既に見られた。

2) 任意の要素たち\(v_1, v_2 \in F (S, F)\)に対して、\(v_1 + v_2 = v_2 + v_1\)(アディション(加法)のコミュータティビティ(可換性): 各\(s \in S\)に対して、\((v_1 + v_2) (s) = v_1 (s) + v_2 (s) = v_2 (s) + v_1 (s) = (v_2 + v_1) (s)\)。

3) 任意の要素たち\(v_1, v_2, v_3 \in F (S, F)\)に対して、\((v_1 + v_2) + v_3 = v_1 + (v_2 + v_3)\)(アディション(加法)たちのアソシアティビティ(結合性)): 各\(s \in S\)に対して、\(((v_1 + v_2) + v_3) (s) = (v_1 + v_2) (s) + v_3 (s) = v_1 (s) + v_2 (s) + v_3 (s) = v_1 (s) + (v_2 (s) + v_3 (s)) = v_1 (s) + (v_2 + v_3) (s) = (v_1 + (v_2 + v_3)) (s)\)。

4) 以下を満たすある0要素\(0 \in F (S, F)\)、つまり、任意の\(v \in F (S, F)\)に対して、\(v + 0 = v\)、がある(0ベクトルの存在): \(0\)ファンクション(関数)\(f_0\)は\(0\)である、なぜなら、各\(s \in S\)に対して、\((v + f_0) (s) = v (s) + f_0 (s) = v (s) + 0 = v (s)\)。

5) 任意の要素\(v \in F (S, F)\)に対して、以下を満たすあるインバース(逆)要素\(v' \in F (S, F)\)、つまり、\(v' + v = 0\)、がある(インバース(逆)ベクトルの存在): \(- v\)はある\(v'\)である、なぜなら、各\(s \in S\)に対して、\((-v + v) (s) = - v (s) + v (s) = 0 = f_0 (s)\)。

6) 任意の要素\(v \in F (S, F)\)、任意のスカラー\(r \in F\)に対して、\(r . v \in F (S, F)\)(スカラーマルチプリケーション(乗法)の下で閉じていること): 既に見られた。

7) 任意の要素\(v \in F (S, F)\)、任意のスカラーたち\(r_1, r_2 \in F\)に対して、\((r_1 + r_2) . v = r_1 . v + r_2 . v\)(スカラーたちアディション(加法)に対するスカラーマルチプリケーション(乗法)ディストリビュータビリティ(分配性)): 各\(s \in S\)に対して、\(((r_1 + r_2) . v) (s) = (r_1 + r_2) v (s) = r_1 v (s) + r_2 v (s) = (r_1 v) (s) + (r_2 v) (s) = (r_1 . v + r_2 . v) (s)\)。

8) 任意の要素たち\(v_1, v_2 \in F (S, F)\)、任意のスカラー\(r \in F\)に対して、\(r . (v_1 + v_2) = r . v_1 + r . v_2\)(ベクトルたちアディション(加法)に対するスカラーマルチプリケーション(乗法)ディストリビュータビリティ(分配性)): 各\(s \in S\)に対して、\((r . (v_1 + v_2)) (s) = r (v_1 + v_2) (s) = r (v_1 (s) + v_2 (s)) = r v_1 (s) + r v_2 (s) = (r v_1) (s) + (r v_2) (s) = (r . v_1 + r . v_2) (s)\)。

9) 任意の要素\(v \in V\)、任意のスカラーたち\(r_1, r_2 \in F\)に対して、\((r_1 r_2) . v = r_1 . (r_2 . v)\)(スカラーマルチプリケーション(乗法)たちのアソシアティビティ(結合性)): 各\(s \in S\)に対して、\(((r_1 r_2) . v) (s) = (r_1 r_2) v (s) = r_1 (r_2 v (s)) = r_1 (r_2 v) (s) = (r_1 . (r_2 . v)) (s)\)。

10) 任意の要素\(v \in V\)に対して、\(1 . v = v\)(1マルチプリケーション(乗法)のアイデンティティ(恒等性 )): 各\(s \in S\)に対して、\((1 . v) (s) = 1 v (s) = v (s)\)。

各\(s \in S\)に対して、以下を満たすファンクション(関数)\(f_s \in F (S, F)\)、つまり、\(f_s (s) = 1\)および\(f_s (s') = 0\)、各\(s' \in S \setminus \{s\}\)に対して、がある(前に言及された記法による\(f_s = 1 s\))、そして、\(B := \{f_s \in F (S, F): s \in S\}\)は\(F (S, F)\)のあるベーシス(基底)である: 各\(f \in F (S, F)\)に対して、\(f = f^1 f_{s_1} + ... + f^k f_{s_k}\)、それは、前に言及された記法による\(f^1 s_1 + ... + f^k s_k\); それは、リニア(線形)にインディペンデント(独立)である、なぜなら、各\(c^1 f_{s_1} + ... + c^k f_{s_k} = 0\)に対して、\((c^1 f_{s_1} + ... + c^k f_{s_k}) (s_j) = 0 (s_j) = 0\)、しかし、左辺は、\(c^1 f_{s_1} (s_j) + ... + c^k f_{s_k} (s_j) = c^j\)、したがって、\(c^j = 0\)。

\(S\)がある\(F\)ベクトルたちスペース(空間)\(V\)である時は気をつける必要がある: 各\(v \in V\)および\(r \in F \setminus \{1\}\)に対して、\(r f_v = r (1 v) = r (v) \neq (r v) = 1 (r v) = 1 f_{r v} = f_{r v}\)、なぜなら、\(r f_v\)は\(v\)を\(r\)へマップするマップ(写像)である一方、\(f_{r v}\)は\(r v\)を\(1\)へマップするが\(v\)を\(0\)へマップ(写像)である。\(S\)が単なるあるセット(集合)である時は、\(r f_s = r s\)は曖昧でない、なぜなら、\(S\)上において\(r s\)などというオペレーションはないから、\(r\)は不可避に\(F (S, F)\)上でオペレーションしている、しかし、\(S = V\)、ある\(F\)ベクトルたちスペース(空間)、である時は、\(r v\)は曖昧である、\(r\)は\(V\)上でオペレーションしている、それは、\(1 (r v) = 1 f_{r v}\)、のか、\(r\)は\(F (V, F)\)上でオペレーションしている、それは、\(r (v) = r f_v\)、のか。

私たちは、各\(v \in V\)に対して、\(v\)は\(v \in V\)を表わす一方、\((v)\)は\((v) = f_v \in F (V, F)\)を表わすという記法を採用する。


参考資料


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