2022年3月27日日曜日

268: ユークリディアンノルム付きスペース(空間)間マップ(写像)のためのインバース(逆)定理

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ユークリディアンノルム付きスペース(空間)間マップ(写像)のためのインバース(逆)定理の記述/証明

話題


About: ノルム付きスペース(空間)
About: マップ(写像)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、ユークリディアンノルム付きスペース(空間)間マップ(写像)のためのインバース(逆)定理の記述および証明を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義の一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題の一覧があります。


本体


1: 記述


任意のユークリディアンノルム付きスペース(空間)\(\mathbb{R}^d\)および\(\mathbb{R}^d\)および任意のポイント近傍\(U_{v_{11}}\)、\(v_{11} \in \mathbb{R}^d\)に対して、以下を満たす任意のマップ(写像)\(f: U_{v_{11}} \rightarrow \mathbb{R}^d\)、つまり、それは\(U_{v_{11}}\)で\(C^k\)(\(1 \le k\))であり、\(v_{11}\)におけるそのデリバティブ(微分係数)\(Df (v_{11})\)はインバーティブル(可逆)である、は\(f (v_{11}) = v_{21})\)のある近傍でインバーティブル(可逆)であり、そのインバース(逆)マップ(写像)は\(C^k\)である。


2: 証明


$$f (v_{11} + v_{12}) = f (v_{11}) + (Df (v_{11})) (v_{12}) + r (v_{11}, v_{12}) = v_{21} + v_{22}、$$ それが\(v_{12}\)に対して\(v_{22}\)によって\(v_{12} = g (v_{22})\)として解かれなければならない。$$v_{12} = (Df (v_{11}))^{-1} (v_{22} - r (v_{11}, v_{12})) := T_{v_{22}} (v_{12}).$$ 集合\(S_{v_{22}} = \{v_1| v_{11} + v_1 \in U_{v_{11}} \text{ and } \Vert v_1 - ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22})\Vert \le M_{v_{22}}\}\)、ここで\(M_{v_{22}} := sup_{\Vert v_1\Vert \le 2\Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22})\Vert} \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (r (v_{11}, v_1))\Vert\)を定義する。そのマップ(写像)\(T_{v_{22}}\)の、ドメイン(定義域)を\(S_{v_{22}}\)としたものは、実際のところ\(T_{v_{22}}: S_{v_{22}} \rightarrow S_{v_{22}}\)である、もしも\(\Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22})\Vert\)が十分に小さければ、以下の理由によって: \(\Vert v_1 - ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22})\Vert \le M_{v_{22}}\)であるので、\(\Vert v_1\Vert - \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22})\Vert \le M_{v_{22}}\)であり、したがって、\(\Vert v_1 \Vert \le \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22})\Vert + M_{v_{22}}\)、しかし、任意の\(0 \lt \varepsilon\)に対して、以下を満たすある\(\delta\)がある、つまり、\(\{\forall v_1| \Vert v_1 \Vert \lt \delta\}\)に対して、\(\frac{\Vert r (v_{11}, v_1) \Vert}{\Vert v_1 \Vert} \lt \varepsilon\)、したがって、\(\Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (r (v_{11}, v_1)) \Vert \le \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) \Vert \Vert (r (v_{11}, v_1)) \Vert \lt \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) \Vert \Vert v_1 \Vert \varepsilon\)、したがって、もしも、\(2 \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert \lt \delta\)であれば、\(M_{v_{22}} \le \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) \Vert 2 \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert \varepsilon\)であり、そうしたら、\(\varepsilon = 2^{-1} \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) \Vert ^{-1}\)と取る、すると、\(M_{v_{22}} \le \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert\)、したがって、\(\Vert v_1 \Vert \le \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert + M_{v_{22}} \le 2 \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert\)、すると、\(\Vert T_{v_{22}} (v_1) - ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert = \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (r (v_{11}, v_1)) \Vert \le M_{v_{22}}\)である。そのドメイン(定義域)の\(T_{v_{22}}\)は、ある十分に小さい\(v_{22}\)に対して、差のノルムを距離として取った収斂である、なぜなら、\(\Vert T_{v_{22}} (v_{121}) - T_{v_{22}} (v_{122}) \Vert = \Vert (Df (v_{11}))^{-1} (r (v_{11}, v_{122}) - r(v_{11}, v_{121})) \Vert \le \Vert (Df (v_{11}))^{-1} \Vert \Vert r (v_{11}, v_{122}) - r(v_{11}, v_{121}) \Vert\)、しかし、rは第2引数についてディファレンシャブル(微分可能)であり、そのヤコビアンはコンティヌアス(連続)である、なぜならそれはfのいくつかのヤコビアンで表わされ、それらはコンティヌアス(連続)であるから、したがって、平均値の定理によって、それは、\(\Vert (Df (v_{11}))^{-1} \Vert \Vert Dr (v_{11}, v_{123}) \Vert \Vert v_{122} - v_{121} \Vert\)、しかし、\(Dr (v_{11}, 0) = 0\)でコンティヌアス(連続)であるから、もしも\(v_{22}\)が十分に小さければ、\(v_{123}\)が十分に小さく、\(\Vert (Df (v_{11}))^{-1} \Vert \Vert Dr (v_{11}, v_{123}) \Vert \lt 1\)。したがって、収斂マッピングの法則によって、以下を満たす唯一の固定点\(v_{12}\)があり、つまり、\(T_{v_{22}} (v_{12}) = v_{12}\)、それが、求められていた値である。\(v_{12} \in S_{v_{12}}\)なので、\(\Vert v_{12} - ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert \le M_{v_{22}}\)、しかし、\(lim_{\Vert v_{22} \Vert \rightarrow 0} \frac{M_{v_{22}}}{\Vert v_{22} \Vert} = 0\)(それは、\(M_{v_{22}}\)の定義および\(lim_{\Vert v_1 \Vert \rightarrow 0} \frac{\Vert r (v_{11}, v_1) \Vert}{\Vert v_1\Vert}\)からくる)、それは、\(v_{12} = g (v_{22})\)は0においてディファレンシャブル(微分可能)でデリバティブ(微分係数)が\((Df (v_{11}))^{-1}\)であることに他ならず、それは、\(f^{-1}\)は同じデリバティブ(微分係数)でディファレンシャブル(微分可能)であることを意味する、なぜなら、\(f^{-1} (v_{21} + v_{22}) = v_{11} + g (v_{22}) = f^{-1} (v_{21}) + (Dg (0)) (v_{22}) + r (0, v_{22})\)。\(D(f^{-1}) = (Df (v_{11}))^{-1} = (Df (f^{-1} (v_{21})))^{-1}\)は、\(v_{21}\)に関してコンティヌアス(連続)である、なぜなら、\(f^{-1}\)はディファレンシャブル(微分可能)でコンティヌアス(連続)であり、そのヤコビアンは\(v_{11}\)に関してコンティヌアス(連続)であり、逆行列はコンティヌアス(連続)性を保ち、そうしたコンティヌアス(連続)マップ(写像)の合成はコンティヌアス(連続)であるから。

これで、当定理は\(C^1\)に対して真であることが証明されたが、当定理が\(C^{k - 1}\)に対して真であると仮定し、fは\(C^k\)であると仮定する。\(D (f^{-1}) = [\frac{\partial f}{\partial v_{1}}]^{-1}\)において、右辺は\(v_1\)に関して\(C^{k - 1}\)である、なぜなら、fは\(C^k\)なので\([\frac{\partial f}{\partial v_{1}}]\)は\(C^{k - 1}\)で、逆行列を取るのは\(C^{k - 1}\)性を保ち、\(v_1 = f^{-1} (v_2)\)は、\(C^{k -1}\)に対する当定理によって\(C^{k - 1}\)なので、合成マップ(写像)として、右辺は\(v_2\)に関して\(C^{k - 1}\)なので、左辺もそうであり、それは、\(f^{-1}\)は\(C^k\)であることを意味する。


3: 注


可能な\(v_{22}\)の範囲が関心事であり、以下のように決定される、もっとも、以下はあまり単刀直入とは言えないが: 第1に、\(\varepsilon = 2^{-1} \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) \Vert ^{-1}\)を取り、以下を満たすように\(\delta\)を取る、つまり、\(\{\forall v_1| \Vert v_1 \Vert \lt \delta\}\)に対して、\(\frac{\Vert r (v_{11}, v_1) \Vert}{\Vert v_1 \Vert} \lt \varepsilon\)、そして、\(v_{22}\)を\(2 \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert \lt \delta\)として取る; 第2に、\(v_{22}\)を小さくして、\(\{\forall v_1| \Vert v_1 - ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert \le sup_{\Vert v_1 \Vert \le 2 \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (v_{22}) \Vert} \Vert ( (Df (v_{11}))^{-1}) (r (v_{11}, v_1)) \Vert\}\)に対して、\(\Vert (Df (v_{11}))^{-1} \Vert \Vert Dr (v_{11}, v_1) \Vert \lt 1\)であるようにする。


参考資料


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