2025年1月12日日曜日

943: ファイナイト(有限)グループ(群)、サブグループ(部分群)でそのインデックスがグループ(群)のオーダーの最小プライム(素数)因子であるものに対して、サブグループ(部分群)はノーマルサブグループ(正規部分群)である

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ファイナイト(有限)グループ(群)、サブグループ(部分群)でそのインデックスがグループ(群)のオーダーの最小プライム(素数)因子であるものに対して、サブグループ(部分群)はノーマルサブグループ(正規部分群)であることの記述/証明

話題


About: グループ(群)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、任意のファイナイト(有限)グループ(群)、任意のサブグループ(部分群)でそのインデックスが当該グループ(群)のオーダーの最小プライム(素数)因子であるものに対して、当該サブグループ(部分群)はノーマルサブグループ(正規部分群)であるという命題の記述および証明を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義たちの一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題たちの一覧があります。


本体


1: 構造化された記述


ここに'構造化された記述'のルールたちがある

エンティティ(実体)たち:
\(G'\): \(\in \{\text{ 全てのグループ(群)たち }\}\)
\(\vert G' \vert\): \(= p_1^{n_1} ... p_k^{n_k}\)、ここで、\(p^j \in \{\text{ 全てのプライムナンバー(素数)たち }\}\)で、\(n_j \in \mathbb{N} \setminus \{0\}\)で、\(p_1 \lt ... \lt p_k\)を満たす
\(G\): \(\in \{G' \text{ の全てのサブグループ(部分群)たち }\}\)
//

ステートメント(言明)たち:
\([G' : G] = p_1\)
\(\implies\)
\(G \in \{G' \text{ の全てのノーマルサブグループ(正規部分群)たち }\}\)
//


2: 注


\(\vert G' \vert = p_1^{n_1} ... p_k^{n_k}\)は押し付けのコンディションではない: 任意のグループ(群)のオーダーはそのようにプライムナンバー(素数)たちに因数分解できる、勿論、\((p_1, ..., p_k)\)および\((n_1, ..., n_k)\)は\(G'\)に依存するが。


3: 証明


全体戦略: ステップ1: \(G\)のコンジュゲート(共役)たちのセット(集合)\(C\)を取り、以下を満たすグループ(群)ホモモーフィズム(準同形写像)\(f: G \to S_C\)、つまり、\(Ker (f) \in \{N_{G'} (G) \text{ の全てのサブグループ(部分群)たち }\}\)、を取る; ステップ2: これ以降、\(G\)はノーマルサブグループ(正規部分群)ではなかったと仮定する、そして、\(N_{G'} (G) = G\)であることを見る; ステップ3: \(Ker (f) = G\)であると仮定し、矛盾を見つける; ステップ4: \(Ker (f) \in \{G \text{ の全てのプロパーサブグループ(真部分群)たち }\}\)であると仮定して、矛盾を見つける; ステップ5: \(G\)は\(G'\)のノーマルサブグループ(正規部分群)であると結論する。

ステップ1:

\(G\)の全てのコンジュゲート(共役)たちのセット(集合)\(C\)を取ろう。

以下を満たすグループ(群)ホモモーフィズム(準同形写像)\(f: G' \to S_C\)、つまり、\(Ker (f) \in \{N_{G'} (G) \text{ の全てのサブグループ(部分群)たち }\}\)、ここで、\(S_C\)は\(C\)のパーミュテーション(並べ替え)たちグループ(群)であり\(N_{G'} (G)\)は\(G\)の\(G'\)上におけるノーマライザー(正規化群)、がある、任意のグループ(群)、任意のサブグループ(部分群)、当該サブグループ(部分群)のコンジュゲート(共役)たちのセット(集合)に対して、当該グループ(群)から当該コンジュゲート(共役)たちセット(集合)のパーミュテーション(並べ替え)たちグループ(群)の中へのあるグループ(群)ホモモーフィズム(準同形写像)でそのカーネル(核)が、当該サブグループ(部分群)の当該グループ(群)上におけるノーマライザー(正規化群)のサブグループ(部分群)であるものがあるという命題によって。

ステップ2:

これ以降、\(G\)はノーマルサブグループ(正規部分群)ではなかったと仮定しよう。

\(N_{G'} (G) = G\)であることを見よう。

\(N_{G'} (G)\)は\(G\)を包含し、\(G'\)のサブグループ(部分群)である。もしも、\(N_{G'} (G) = G'\)である場合、\(G\)は\(G'\)のノーマルサブグループ(正規部分群)であることになる、矛盾。したがって、\(N_{G'} (G)\)は\(G'\)のプロパーサブグループ(真部分群)である。

\([G' : G] = p_1\)が含意するのは、\(\vert G \vert = p_1^{n_1 - 1} ... p_k^{n_k}\)。すると、\(\vert N_{G'} (G) \vert = p_1^{n_1 - 1} ... p_k^{n_k}\)、ラグランジュの定理によって: \(G\)は\(N_{G'} (G)\)のサブグループ(部分群)であるから、\(\vert N_{G'} (G) \vert\)は\(\vert G \vert\)の倍数である、しかし、\(N_{G'} (G)\)は\(G'\)のサブグループ(部分群)であるから、\(\vert N_{G'} (G) \vert\)は\(\vert G' \vert\)の因子である、したがって、\(\vert N_{G'} (G) \vert\)は\(p_1^{n_1 - 1} ... p_k^{n_k}\)の倍数であり、\(p_1^{n_1} ... p_k^{n_k}\)の因子である、しかし、\(p_1^{n_1} ... p_k^{n_k}\)に等しくない。

それが意味するのは、\(N_{G'} (G) = G\)。

したがって、\(Ker (f) \in \{N_{G'} (G) = G \text{ の全てのサブグループ(部分群)たち }\}\)。

ステップ3:

\(Ker (f) = G\)であったと仮定しよう。

\(G\)は\(G'\)のノーマルサブグループ(正規部分群)ではなかったから、以下を満たすある\(g' \in G'\)、つまり、\(g' G {g'}^{-1} \neq G\)、があることになる、それが意味するのは、以下を満たすある\(g \in G\)、つまり、\(g' g {g'}^{-1} \notin G\)、があったということ。

\(f (g' g {g'}^{-1}) = f (g') f (g) f ({g'}^{-1}) = f (g') 1 f ({g'}^{-1})\)、なぜなら、\(Ker (f) = G\), \(= f (g' {g'}^{-1}) = f (1) = 1\)。

したがって、\(g' g {g'}^{-1} \in Ker (f)\)、\(g' g {g'}^{-1} \notin G = Ker (f)\)に反する矛盾。

ステップ4:

したがって、\(Ker (f)\)は\(G\)のプロパーサブグループ(真部分群)であったと仮定しよう。

\(Ker (f)\)は\(G'\)のサブグループ(部分群)であった、任意のグループ(群)ホモモーフィズム(準同形写像)に対して、ドメイン(定義域)の、当該ホモモーフィズム(準同形写像)のカーネル(核)によるクウォシェント(商)グループ(群)は、当該ホモモーフィズム(準同形写像)のレンジ(値域)へ'グループ(群)たち - ホモモーフィズム(準同形写像)たち'アイソモーフィック(同形写像)である: グループ(群)たちに対する第1アイソモーフィズム(同形写像)定理、という命題によって。

したがって、\(\vert Ker (f) \vert = p_1^{n'_1} ... p_k^{n'_k}\)、ここで、\(n'_k \in \mathbb{N}\)で\(n'_j \le n_j\)を満たす、ラグランジュの定理によって。

\(\vert G' / Ker (f) \vert = p_1^{n_1 - n'_1} ... p_k^{n_k - n'_k}\)。

\(l := \vert C \vert \le p_1\)、任意のグループ(群)、任意のサブグループ(部分群)、当該サブグループ(部分群)の、任意のグループ(群)要素による左または右コセット(剰余類)に対して、当該サブグループ(部分群)の、当該コセット(剰余類)の任意の要素たちまたは任意の要素たちのインバース(逆)たちによるコンジュゲート(共役)たちは同一であるという命題によって。

\(\vert S_C \vert = l!\)。

\(Ran (f)\)は\(S_C\)のサブグループ(部分群)だということになる、任意のグループ(群)ホモモーフィズム(準同形写像)に対して、ドメイン(定義域)の、当該ホモモーフィズム(準同形写像)のカーネル(核)によるクウォシェント(商)グループ(群)は、当該ホモモーフィズム(準同形写像)のレンジ(値域)へ'グループ(群)たち - ホモモーフィズム(準同形写像)たち'アイソモーフィック(同形写像)である: グループ(群)たちに対する第1アイソモーフィズム(同形写像)定理、という命題によって。

したがって、\(\vert Ran (f) \vert\)は\(l!\)の因子であることになる、ラグランジュの定理によって。

任意のグループ(群)ホモモーフィズム(準同形写像)に対して、ドメイン(定義域)の、当該ホモモーフィズム(準同形写像)のカーネル(核)によるクウォシェント(商)グループ(群)は、当該ホモモーフィズム(準同形写像)のレンジ(値域)へ'グループ(群)たち - ホモモーフィズム(準同形写像)たち'アイソモーフィック(同形写像)である: グループ(群)たちに対する第1アイソモーフィズム(同形写像)定理、という命題によって、\(\vert G' / Ker (f) \vert = p_1^{n_1 - n'_1} ... p_k^{n_k - n'_k} = \vert Ran (f) \vert\)。

\(\vert Ran (f) \vert\)は\(l!\)の因子であり\(l \le p_1\)であったから、\(\vert Ran (f) \vert = p_1 = l = \vert G' / Ker (f) \vert\): それは\(1\)ではありえない、なぜなら、もしも、\(\vert G' / Ker (f) \vert = 1\)であった場合、\(Ker (f) = G'\)、\(Ker (f) \subset G \subset G'\)に反する矛盾。

\(\vert G' / G \vert = p_1\)であるから、\(\vert G' / Ker (f) \vert = \vert G' / G \vert\)、それは、\(\vert Ker (f) \vert = \vert G \vert\)であることを含意することになる、それは、\(Ker (f) = G\)を含意することになる、なぜなら、\(Ker (f)\)は\(G\)のサブグループ(部分群)であった、しかし、それは、\(Ker (f)\)は\(G\)のプロパーサブグループ(真部分群)であったことに反する矛盾となる。 

ステップ5:

したがって、\(G\)はノーマルサブグループ(正規部分群)ではなかったという仮定は矛盾に至る、したがって、\(G\)は\(G'\)のノーマルサブグループ(正規部分群)である。


参考資料


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