マップ(写像)に対して、レンジ(値域)のカーディナリティ(濃度)はドメイン(定義域)のカーディナリティ(濃度)に等しいかそれより小さいことの記述/証明
話題
About: セット(集合)
この記事の目次
開始コンテキスト
- 読者は、マップ(写像)の定義を知っている。
- 読者は、セット(集合)のカーディナリティ(濃度)の定義を知っている。
- 読者は、リレーション(関係)の定義を知っている。
ターゲットコンテキスト
- 読者は、任意のマップ(写像)に対して、当該レンジ(値域)のカーディナリティ(濃度)は当該ドメイン(定義域)のカーディナリティ(濃度)に等しいかそれより小さいという命題の記述および証明を得る。
オリエンテーション
本サイトにてこれまで議論された定義たちの一覧があります。
本サイトにてこれまで議論された命題たちの一覧があります。
本体
1: 構造化された記述
ここに'構造化された記述'のルールたちがある。
エンティティ(実体)たち:
\(S_1\): \(\in \{\text{ 全てのセット(集合)たち }\}\)
\(S_2\): \(\in \{\text{ 全てのセット(集合)たち }\}\)
\(f\): \(: S_1 \to S_2\)
//
ステートメント(言明)たち:
\(Card (f (S_1)) \le Card (S_1)\)
//
2: 証明
全体戦略: ステップ1: リレーション(関係)\(R := \{(s_2, s_1) \in S_2 \times S_1 \vert s_2 = f (s_1)\}\)のことを考える; ステップ2: チョイスのアキシオム(選択公理)を適用して以下を満たすあるファンクション(関数)\(F \subseteq R\)、つまり、\(Dom (F) = Dom (R)\)、を得る。
ステップ1:
リレーション(関係)\(R := \{(s_2, s_1) \in S_2 \times S_1 \vert s_2 = f (s_1)\}\)のことを考えよう。
\(R\)のドメイン(定義域)は\(Dom (R) = f (S_1)\)である。
\(R\)は必ずしもファンクション(関数)ではない、なぜなら、ある\(s_2\)に対して、何らか複数の\(s_1\)たちがあるかもしれない。
ステップ2:
しかし、チョイスのアキシオム(選択公理)によって、以下を満たすあるファンクション(関数)\(F \subseteq R\)、つまり、\(Dom (F) = Dom (R)\)、がある。
\(F\)は\(Dom (F)\)から\(S_1\)の中へのマップ(写像)である。
\(F\)はインジェクティブ(単射)である、なぜなら、以下を満たす任意の\(s_2, s'_2 \in Dom (F)\)、つまり、\(s_2 \neq s'_2\)、に対して、\(F (s_2) \neq F (s'_2)\)、なぜなら、もしも、\(F (s_2) = F (s'_2)\)である場合、\(s_2 = f (F (s_2)) = f (F (s'_2)) = s'_2\)、矛盾。
したがって、\(Card (f (S_1)) = Card (Dom (R)) = Card (Dom (F)) \le Card (S_1)\)。