2025年12月28日日曜日

1522: アンチシンメトリック(反対称)リアル(実)マトリックス(行列)はオーソゴーナルマトリックス(直交行列)によってブロックダイアゴナライズ(対角化)できる

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アンチシンメトリック(反対称)リアル(実)マトリックス(行列)はオーソゴーナルマトリックス(直交行列)によってブロックダイアゴナライズ(対角化)できることの記述/証明

話題


About: マトリックスたちスペース(行列たち空間)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、任意のアンチシンメトリック(反対称)リアル(実)マトリックス(行列)はあるオーソゴーナルマトリックス(直交行列)によってブロックダイアゴナライズ(対角化)できるという命題の記述および証明を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義たちの一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題たちの一覧があります。


本体


1: 構造化された記述


ここに'構造化された記述'のルールたちがある

エンティティ(実体)たち:
\(M\): \(\in \{\text{ 全ての } n \times n \text{ リアルアンチシンメトリックマトリックス(実反対称行列)たち } \}\)
//

ステートメント(言明)たち:
\(\exists O \in \{\text{ 全てのオーソゴーナルマトリックス(直交行列)たち }\} (O^t M O = \begin{pmatrix} 0 & \sqrt{\lambda_1} & 0 & ... & & & & & & & 0 \\ - \sqrt{\lambda_1} & 0 & ... & & & & & & & & 0 \\ 0 & ... & 0 & \sqrt{\lambda_2} & 0 & ... & & & & & 0 \\ 0 & 0 & - \sqrt{\lambda_2} & 0 & ... & & & & & & 0 \\ ... \\ 0 & ... & & && & 0 & \sqrt{\lambda_{2 m}} & 0 & ... & 0 \\ 0 & ... & & & & 0 & - \sqrt{\lambda_{2 m}} & 0 & ... & & 0 \\ 0 & ... & & & & & & & & & 0 \\ ... \\ 0 & ... & & & & & & & & & 0 \end{pmatrix})\)、ここで、\(\{\lambda_1, ..., \lambda_{2 m}, 0, ..., 0\}\)は、\(M^t M\)のアイゲンバリュー(固有値)たち、ここで、\(0 \lt \lambda_j\)、である
//


2: 注


"ブロックダイアゴナライズ(対角化)"が意味するのは、結果はダイアゴナル(対角)ブロックたち(それが意味するのは、ダイアゴナル(対角)位置たちにあるブロックたちであり、ダイアゴナル(対角)形たちを持つブロックたちではない)を持つということであり、それらの各々は、\(\begin{pmatrix} 0 & \sqrt{\lambda_j} \\ - \sqrt{\lambda_j} & 0 \end{pmatrix}\)または\(\begin{pmatrix} 0 \end{pmatrix}\)であり、他のコンポーネントたちは\(0\)である。

明らかに、非ゼロアンチシンメトリックマトリックス(反対称行列)はダイアゴナライズ(対角化)できない、なぜなら、当該アンチシンメトリックマトリックス(反対称行列)のダイアゴナル(対角)コンポーネントたちは全て\(0\)である、したがって、\(O^t M O\)は\(0\)マトリックス(行列)であることになる(\(O^t M O\)はアンチシンメトリック(反対称)である)、そして、\(M = O O^t M O O^t = 0\)。


3: 証明


全体戦略: ステップ1: \(M^t M\)はシンメトリック(対称)であり、減少するアイゲンバリュー(固有値)たち(重複たちを含んで)\((\lambda_1, ..., \lambda_k, 0, ..., 0)\)、ここで、\(0 \lt \lambda_j\)、を持ち、アイゲン(固有)ベクトルたち\(e_1, ..., e_n\)を持つことを見る; ステップ2: \(M e_j\)は\(\lambda_j\)に対するあるアイゲン(固有)ベクトルであり\(e_j\)へオーソゴーナル(直交)であり、したがって、\((e_j, M e_j)\)は同一\(\lambda_j\)に対するペアであることを見る; ステップ3: \(M^t M\)のあるオーソノーマル(正規直交)アイゲン(固有)ベクトルたち\((O_1, ..., O_{2 m}, O_{2 m + 1}, ..., O_n)\)でアイゲンバリュー(固有値)たち\((\lambda_1, ..., \lambda_{2 m}, 0, ..., 0)\)を持つものたちを取る; ステップ4: \(O\)を\(\begin{pmatrix} O_1 & ... & O_n \end{pmatrix}\)として取る; ステップ5: \(O^t M O\)は要求されているとおりであることを見る。

ステップ1:

\(M^t M\)はシンメトリック(対称)である、なぜなら、\((M^t M)^t = M^t {M^t}^t\)、任意のコミュータティブ(可換)リング(環)に対して、任意のマトリックス(行列)たちのプロダクト(積)のトランスポーズ(転置)は、当該構成要素たちのトランスポーズ(転置)たちの逆順によるプロダクト(積)であるという命題によって、\(= M^t M\)。

したがって、\(M^t M\)は、アイゲンバリュー(固有値)たち(減少する順序に並べられている、私たちの便宜のために)\((\lambda_1, ..., \lambda_n)\)、重複たちを含めて、を持ち、アイゲン(固有)ベクトルたち\((e_1, ..., e_n)\)を持つ、よく知られているとおり。

各\(j \in \{1, ..., n\}\)に対して、\(0 \le \lambda_j\)であることを見よう。

\(M^t M e_j = \lambda_j e_j\)。

\({e_j}^t M^t M e_j = (M e_j)^t M e_j = \Vert M e_j \Vert^2\)、それは。ノンネガティブ(非負)である。

しかし、\({e_j}^t M^t M e_j = {e_j}^t \lambda_j e_j = \lambda_j {e_j}^t e_j = \lambda_j \Vert e_j \Vert^2\)。

したがって、\(0 \le \lambda_j \Vert e_j \Vert^2\)、それが含意するのは、\(0 \le \lambda_j\)。

したがって、\((\lambda_1, ..., \lambda_n) = (\lambda_1, ..., \lambda_k, 0, ..., 0)\)、ここで、\(0 \lt \lambda_j\)、ここで、\(k = n\)である時は、"\(0, ..., 0\)"部分は本当には存在しない。

ステップ2:

\(j \in \{1, ..., k\}\)を任意のものとしよう。

\(M e_j\)は、\(\lambda_j\)に対するあるアイゲン(固有)ベクトルで、\(e_j\)へオーソゴーナル(直交)であることを見よう。

\(M^t M (M e_j) = - M^t (- M) (M e_j) = - (- M) (M^t) (M e_j) = M (M^t M e_j) = M (\lambda_j e_j) = \lambda_j (M e_j)\)。

他方で、\(M (M e_j) = - (- M M e_j) = - (M^t M e_j) = - \lambda_j e_j \neq 0\)、それが含意するのは、\(M e_j \neq 0\)。

\(e_j = - 1 / \lambda_j M (M e_j)\)。

\({e_j}^t (M e_j) = (- 1 / \lambda_j M (M e_j))^t M e_j = - 1 / \lambda_j (M (M e_j))^t M e_j = - 1 / \lambda_j (M e_j)^t M^t M e_j = - 1 / \lambda_j (M e_j)^t \lambda_j e_j = - (M e_j)^t e_j = - ((M e_j)^t e_j)^t\)、なぜなら、任意のスカラーのトランスポーズ(転置)は当該スカラーである、\(= - {e_j}^t ((M e_j)^t)^t = - {e_j}^t (M e_j)\)、それが含意するのは、\({e_j}^t (M e_j) = 0\)。

したがって、\(M e_j\)は、\(\lambda_j\)に対するあるアイゲン(固有)ベクトルで\(e_j\)へオーソゴーナル(直交)であるものである。

したがって、\(\{e_j, M e_j\}\)はリニアにインディペンデント(線形独立)であり、\((e_j, M e_j)\)は、\(\lambda_j\)に対するアイゲン(固有)ベクトルたちのあるペアを形成する。

ステップ3:

\(O_1 := e_1 / \Vert e_1 \Vert\)は\(\lambda_1\)に対するあるノーマル(正規)アイゲン(固有)ベクトルである。

\(O_2 := - 1 / \sqrt{\lambda_1} M O_1\)を取ろう、それは、\(\lambda_1\)に対するアイゲン(固有)ベクトルで\(O_1\)へオーソゴーナル(直交)なものである、ステップ2によって。

\({O_2}^t O_2 = (- 1 / \sqrt{\lambda_1} M O_1)^t (- 1 / \sqrt{\lambda_1} M O_1) = 1 / \lambda_1 (M O_1)^t M O_1 = 1 / \lambda_1 {O_1}^t M^t M O_1 = 1 / \lambda_1 {O_1}^t \lambda_1 O_1 = {O_1}^t O_1 = 1\)、したがって、\(O_2\)は\(\lambda_1\)に対するあるノーマル(正規)アイゲン(固有)ベクトルで\(O_1\)へオーソゴーナル(直交)なものである。

注意として、\(M O_2 = M (- 1 / \sqrt{\lambda_1} M O_1) = - 1 / \sqrt{\lambda_1} M M O_1 = \sqrt{\lambda_1} O_1\)、ステップ2によって。

もしも、\(\lambda_1\)の重複がそれ以上無い場合、\((\lambda_1, \lambda_2 = \lambda_1)\)が\(\lambda_1\)の重複全てである。

\(\lambda_1\)の別の重複があると仮定しよう。

あるノーマル(正規)アイゲン(固有)ベクトル\(O_3\)を\((O_1, O_2)\)へオーソゴーナル(直交)に取れる、ベクトルたちスペース(空間)でインナープロダクト(内積)を持つもののカウンタブル(可算)サブセット(部分集合)のグラム-シュミットオーソノーマライゼーション(正規直交化)の定義によって。

そこで、\(O_4 := - 1 / \sqrt{\lambda_1} M O_3\)、\(\lambda_1\)に対するノーマル(正規)アイゲン(固有)ベクトルで\(O_3\)へオーソゴーナル(直交)なもの、を取ろう、前と同様。

\(O_4\)は\(O_1\)および\(O_2\)へもオーソゴーナル(直交)であることを見よう。

\(j \in \{1, 2\}\)に対して、\({O_j}^t O_4 = {O_j}^t (- 1 / \sqrt{\lambda_1} M O_3) = - 1 / \sqrt{\lambda_1} {O_j}^t M O_3 = - 1 / \sqrt{\lambda_1} {O_j}^t {M^t}^t O_3 = - 1 / \sqrt{\lambda_1} (M^t O_j)^t O_3 = - 1 / \sqrt{\lambda_1} (- M O_j)^t O_3 = 1 / \sqrt{\lambda_1} (M O_j)^t O_3\)、しかし、\(M O_j\)は\(O_1\)または\(O_2\)のあるスカラー倍である、したがって、\(= 0\)。

等々と続く、結局、\(\lambda_1\)は偶数個の重複たち\((\lambda_1, \lambda_2 = \lambda_1, ..., \lambda_{2 l - 1} = \lambda_1, \lambda_{2 l} = \lambda_1)\)を持ち、当該スカラーオーソノーマル(正規直交)アイゲン(固有)ベクトルたち\((O_1, O_2, ..., O_{2 l - 1}, O_{2 l})\)を持つ。

各アイゲンバリュー(固有値)ポジティブ(正)重複たちに対して同様にして、アイゲンバリュー(固有値)たち\((\lambda_1, ..., \lambda_{2 m})\)でオーソノーマル(正規直交)アイゲン(固有)ベクトルたち\((O_1, ..., O_{2 m})\)を持つものたちを得た: 異なるアイゲンバリュー(固有値)たちを持つ任意の2個のアイゲン(固有)ベクトルたち\(O_j, O_l\)は不可避に互いに対してオーソゴーナル(直交)である、なぜなら、\((\lambda_l - \lambda_j) {O_j}^t O_l = \lambda_l {O_j}^t O_l - \lambda_j {O_j}^t O_l = {O_j}^t M^t M O_l - (M^t M O_j)^t O_l = ((M^t M)^t O_j)^t O_l - (M^t M O_j)^t O_l = (M^t M O_j)^t O_l - (M^t M O_j)^t O_l = 0\)、それが含意するのは、\({O_j}^t O_l = 0\)。

アイゲンバリュー(固有値)0重複たちに対しては、任意のオーソノーマル(正規直交)アイゲン(固有)ベクトルたちを取る、ベクトルたちスペース(空間)でインナープロダクト(内積)を持つもののカウンタブル(可算)サブセット(部分集合)のグラム-シュミットオーソノーマライゼーション(正規直交化)の定義によって。

したがって、私たちは、アイゲンバリュー(固有値)たち\((\lambda_1, ..., \lambda_{2 m}, 0, ..., 0)\)でオーソノーマル(正規直交)アイゲン(固有)ベクトルたち\((O_1, ..., O_{2 m}, O_{2 m + 1}, ..., O_n)\)を持つものたちを得た: 異なるアイゲンバリュー(固有値)たちを持つ任意の2個のアイゲン(固有)ベクトルたち\(O_j, O_l\)は不可避に互いに対してオーソゴーナル(直交)である、前と同様。

ステップ4:

\(O := \begin{pmatrix} O_1 & ... & O_n \end{pmatrix}\)を取ろう。

\(O\)はオーソゴーナルマトリックス(直交行列)である、なぜなら、\((O_1, ..., O_n)\)はオーソノーマル(正規直交)である: \((O_1, ..., O_n)\)がオーソノーマル(正規直交)であることは\(O^t O = I\)に他ならない。

ステップ5:

\(O^t M O\)は要求されているとおりであることを見よう。

各\(2 m \lt j\)に対して、\(M O_j = 0\)、なぜなら、\(M^t M O_j = 0\)、したがって、\({O_j}^t M^t M O_j = 0\)、しかし、左辺は\((M O_j)^t M O_j = \Vert M O_j \Vert^2\)、したがって、\(\Vert M O_j \Vert^2 = 0\)、それが含意するのは、\(M O_j = 0\)。

\((O^t M O)^j_l = {O_j}^t M O_l\)であることを見よう。

\((O^t M O)^j_l = (O^t)^j (M O)_l\)、ここで、\((O^t)^j\)は\(O^t\)の第\(j\)-番目行を表わし、\((M O)_l\)は\(M O\)の第\(l\)-番目列を表わす。

\((O^t)^j = {O_j}^t\)。

\((M O)_l = M O_l\)。

したがって、\((O^t M O)^j_l = {O_j}^t M O_l\)。

各\(r \in \{0, ..., m - 1\}\)に対する各\(j = 2 r + 1\)に対して、\(l = j + 1\)に対して、\({O_j}^t M O_l = {O_j}^t \sqrt{\lambda_j} O_j = \sqrt{\lambda_j}\)、そして、他の任意の\(l\)に対して、\({O_j}^t M O_l = 0\)、なぜなら、\(l \le 2 m\)である時、\(M O_l\)は、\(O_l\)が属するペア内の他方のスカラー倍である、そして、\(2 m \lt l\)である時、\(M O_l = 0\)。

各\(r \in \{0, ..., m - 1\}\)に対する各\(j = 2 r + 2\)に対して、\(l = j - 1\)に対して、\({O_j}^t M O_l = {O_j}^t (- \sqrt{\lambda_j} O_j) = - \sqrt{\lambda_j}\)、そして。他の任意の\(l\)に対して、\({O_j}^t M O_l = 0\)、なぜなら、\(l \le 2 m\)である時、\(M O_l\)は、\(O_l\)が属するペア内の他方のスカラー倍である、そして、\(2 m \lt l\)である時、\(M O_l = 0\)。

\(2 m \lt j\)を満たす各\(j\)に対して。各\(l \in \{1, .., n\}\)に対して、\({O_j}^t M O_l = 0\)、なぜなら、\(l \le 2 m\)である時、\(M O_l\)は、\(O_l\)が属するペア内の他方のスカラー倍である、そして、\(2 m \lt l\)である時、\(M O_l = 0\)。

それが意味するのは、\(O^t M O\)は要求されているとおりであること。


参考資料


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