2022年7月10日日曜日

95: シンプレックス(単体)は同次元クローズドボール(閉球)にホメオモーフィック(位相同形)である

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シンプレックス(単体)は同次元クローズドボール(閉球)にホメオモーフィック(位相同形)であることの記述/証明

話題


About: トポロジカルスペース(空間)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、n次元シンプレックス(単体)は任意のn次元クローズドボール(閉球)にホメオモーフィック(位相同形)であるという命題の記述および証明を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義の一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題の一覧があります。


本体


1: 記述


n次元シンプレックス(単体)\(\Delta^n\)と任意のn次元クローズドボール(閉球)\(\overline{B^n_{p-r}}\)の間に、あるホメオモーフィズム(位相同形写像)\(f: \Delta^n \rightarrow \overline{B^n_{p-r}}\)がある。


2: 証明


\(\Delta^n\)および\(\overline{B^n_{p-r}}\)は\(\mathbb{R}^n\)のサブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)であるが、それらは\(\mathbb{R}^{n + 1}\)のサブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)とみなすことができる、任意のユークリディアントポロジカルスペース(空間)内にネストされた任意のユークリディアントポロジカルスペース(空間)は、ネストしているユークリディアントポロジカルスペース(空間)のサブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)であるという命題およびサブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)たちの任意のネストにおいて、任意のサブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)上の任意のサブセット(部分集合)のオープン性は、そのトポロジカルスペース(空間)がどのスーパースペースのサブスペース(部分空間)だとみなされるかに依存しないという命題が故に。

\(\mathbb{R}^{n + 1}\)上で、\(\sum_{i = 1, . . ., n + 1} x^i = 1\)が当該\(\mathbb{R}^{n}\)スペース(空間)であり、\(\Delta^n = \{x \in \mathbb{R}^{n + 1}| \sum_{i = 1, . . ., n + 1} x^i = 1, 0 \leq x^i \leq 1\}\); \(\overline{B^n_{p-r}} = \{x \in \mathbb{R}^{n + 1}| \sum_{i = 1, . . ., n + 1} x^i = 1, \sum_{i = 1, . . ., n + 1} (x^i - p^i)^2 \leq r^2\}\)、ここで\(\sum_{i = 1, . . ., n + 1} p^i = 1\)。

\(\Delta^n\)の重心は\(c = (\frac{1}{n + 1}, \frac{1}{n + 1}, . . ., \frac{1}{n + 1})\)である。ファンクション(関数)\(g: \Delta^n \setminus \{c\} \rightarrow \Delta^n, x \mapsto g (x)\)が、\(c\)から\(x\)への輻射線が通過する \(\Delta^n\)の境界点として定義される。\(f\)は、\(c\)に対しては\(p\)、その他に対しては\(p + r {|g (x) - c|}^{-1} (x - c)\)と定義される。

実のところ、\(g (x) = c + (1 - {c^j}^{-1} x^j)^{-1} (x - c)\)、ここで\(j\)は\(x\)の最小コンポーネントのインデックス(もしも、複数の最小があれば、それらから任意の1つを選ぶ)、なぜなら、\(g (x) = c + a (x - c)\)でその最小コンポーネントが0(それが、ある境界上にある条件である)、したがって、\(c^j + a (x^j - c^j) = 0\)、したがって、\(a = - c^j (x^j - c^j)^{-1} = (1 - {c^j}^{-1}x^j)^{-1}\)。

\(f\)は明らかに\(\Delta^n\)と\(\overline{B^n_{p-r}}\)の間のバイジェクション(全単射)である、しかし、任意のサブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)たち間の任意のマップ(写像)は、任意のポイントにおいてコンティヌアス(連続)である、もしも、元のマップ(写像)の、当該スーパースペースたちのなんらかのオープンセット(開集合)たちへの拡張であるあるマップ(写像)がそのポイントにおいてコンティヌアス(連続)である場合という命題を適用するためには、\(f\)のドメイン(定義域)が\(\mathbb{R}^{n + 1}\)のあるオープンセット(開集合)へ拡張されレンジ(値域)が\(\mathbb{R}^{n + 1}\)のあるオープンセット(開集合)へ拡張されなければならない。\(f': \mathbb{R}^{n + 1} \rightarrow \mathbb{R}^{n + 1}\)を以下のように定義しよう: \(g\)の拡張として、\(g': \mathbb{R}^{n} \setminus {c} \rightarrow \mathbb{R}^{n}, x \mapsto g' (x)\)は、\(\Delta^n\)の外側では、cからxへの輻射線が通過する\(\Delta^n\)の境界点と定義される(それによって、最小の代わりに最大を選ぶようになるだけである); \(x'\)が\(x\)の\(\mathbb{R}^{n}\)平面へのプロジェクション(射影)を表わす(それは、\(x - x'\)は(\mathbb{R}^{n}\)平面へ垂直なベクトルであることを意味する)として、\(f'\)は、\(x' = c\)の時には\(p + x - c\)、その他の時には\(p + r {|g' (x') - c|}^{-1} (x' - c) + x - x'\)と定義され、それも明らかにバイジェクション(全単射)である。

\(x \rightarrow x'\)はコンティヌアス(連続)である(\(x\) を中心とする\(\epsilon\)-オープンボール(開球)は、\(x'\)を中心とした\(\epsilon\)-オープンボール(開球)と\(\mathbb{R}^{n}\)平面のインターセクション(共通集合)へマップされる); \(x \rightarrow g' (x' (x))\)はコンティヌアス(連続)である(最小または最大コンポーネントを取るのはコンティヌアス(連続)である、なぜなら、\(x'\)を中心とする\(\epsilon\)-オープンボール(開球)は各コンポーネント(最小または最大コンポーネントを含めて)の変動が\(\epsilon\)より小さいことを意味する、ベクトル長を取るのはコンティヌアス(連続)、積上の逆を取るのはコンティヌアス(連続)(\(x' = c\)は\(g'\)のドメイン(定義域)内に含まれていない); したがって、\(f'\)は、\(x' = c\)である時を除いてコンティヌアス(連続)マップ(写像)たちの合成としてコンティヌアス(連続)であり、\(x'\)が\(c\)に近いときは、\(|{|g' (x') - c|}^{-1} (x' - c)| = {| {|(1 - {c^j}^{-1} x'^j)|}^{-1} |x' - c||}^{-1} |x' - c| = |(1 - {c^j}^{-1} x'^j)| \approx 0\)、したがって、\(f' (x) = p + r {|g' (x') - c|}^{-1} (x' - c) + x - x' \approx p + x - c\)、したがって、\(f'\)は、\(x' = c\)の時にもコンティヌアス(連続)である。

他方で、\(f'^{-1} (y)\)は、\(y' = p\)の時は\(c + y - p\)で、その他の時は\(c + r^{-1} |h' (y') - c| (y' - p) + y - y'\)、ここで\(y'\)は、\(y\)の\(\mathbb{R}^{n}\)平面へのプロジェクション(射影)を表わし、\(h' (y')\)は、\(\Delta^n\)の境界点でそれを介して\(y'\)が\(x'\)からマップされるものを表わす(それは、\(h' (y') = g' (x')\)を意味する)、なぜなら、\(p + r {|g' (x') - c|}^{-1} (x' - c)\)は\(y'\)に他ならず、したがって、\(y' - p = r {|g' (x') - c|}^{-1} (x' - c)\)、そして\(f'^{-1} (y) = c + x' - c + y - y'\)(\(h' (y') = g' (x')\)であるから)、しかし、\(y - y' = x - x'\)、\(\mathbb{R}^{n}\)平面へ垂直なベクトルは変化させられないから。

\(h' (y')\)は、実のところ\(g' (y' - p + c)\)、なぜなら、\(y'\)は\(x'\)から、\(y'\)の\(p\)からの方向が、\(x'\)の\(c\)からの方向と同じであるようにマップされ、当該境界点は、\(g'\)の引数の\(c\)からの方向のみに依存するから。したがって、\(y \mapsto h' (y' (y))\)はコンティヌアス(連続)である、\(y \mapsto g' (y' - p + c)\)がコンティヌアス(連続)だから。したがって、\(f'^{-1} (y)\)はコンティヌアス(連続)である。

結局、任意のサブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)たち間の任意のマップ(写像)は、任意のポイントにおいてコンティヌアス(連続)である、もしも、元のマップ(写像)の、当該スーパースペースたちのなんらかのオープンセット(開集合)たちへの拡張であるあるマップ(写像)がそのポイントにおいてコンティヌアス(連続)である場合という命題により、\(f: \Delta^n \rightarrow \overline{B^n_{p-r}}\)はホメオモーフィズム(位相同形写像)である。


3: 注


任意の妥当な証明は、シンプレックス(単体)をドメイン(定義域)とするある\(n + 1\)変数ファンクション(関数)\(f\)を持ち込めば終わりというほどシンプルではない、なぜなら、\(\mathbb{R}^{n}\)サブスペース(部分空間)トポロジカルスペース(空間)たち間のホメオモーフィズム(位相同形写像)を証明しなければならないのであるが、そのファンクション(関数)は、\(\mathbb{R}^{n + 1}\)のある非オープン(開)サブセット(部分集合)から\(\mathbb{R}^{n + 1}\)のある非オープン(開)サブセット(部分集合)へのものであり、そのコンティヌアス(連続)性であるように思えるものは、求められているホメオモーフィズム(位相同形写像)をそれほど自明には保証しない。


参考資料


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