2022年2月13日日曜日

27: ユークリディアンノルム付きユークリディアンベクトルたちスペース(空間)ODEに対するローカル唯一解の存在

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ユークリディアンノルム付きユークリディアンベクトルたちスペース(空間)ODEに対するローカル唯一解の存在の記述/証明

話題


About: ノルム付きベクトルたちスペース(空間)

この記事の目次


開始コンテキスト



ターゲットコンテキスト



  • 読者は、あるユークリディアンノルム付きユークリディアンベクトルたちスペース(空間)常微分方程式に対するあるクローズド(閉)インターバル(区間)ドメイン(定義域)に対するローカル唯一解の存在の記述と証明を得る、また、解の定義域の明確化を得る。

オリエンテーション


本サイトにてこれまで議論された定義の一覧があります。

本サイトにてこれまで議論された命題の一覧があります。


本体


1: 記述


任意のユークリディアンノルム付きユークリディアンベクトルたちスペース(空間)たち\(\mathbb{R}^d\) and \(\mathbb{R}\)、任意の\(x_0\)中心の\(K\)半径オープンボール(開球)\(B \subseteq \mathbb{R}^d\)、任意のインターバル(区間)\(I \subseteq \mathbb{R}: [t_0 - \epsilon_1, t_0 + \epsilon_2]\)、任意の\(C^0\)マップ(写像)\(f: B \times I \to \mathbb{R}^d\)で任意の\(x_1, x_2 \in B\)および任意の\(t \in I\)に対してリプシッツ評価\(\Vert f (x_1, t) - f (x_2, t) \Vert \le L \Vert x_1 - x_2 \Vert\)を満たし以下の2不等式、\(\epsilon_i \le \frac{K}{M}\)(ここで、\(M\)は\(sup_{x \in B, t \in I} \Vert f (x, t) \Vert \le M\)を満足する任意のナンバー(数))および\(\epsilon_i \lt L^{-1}\)、も満たすものに対して、\(B \times I\)上の初期値指定常微分方程式\(\frac{d x}{d t} = f (x, t)\)、初期条件\(x (t_0) = x_0\)、は\(I\)全体上で唯一\(C^1\)解\(x: I \to B\)を持つ。それが"ローカル"と呼ばれる理由は、\(B\)および\(I\)は通常、当該方程式が本当に対象としているもっと広いエリアの中のローカルエリアのための解のために選ばれること。

注意として、もしも、\(f\)がリプシッツ評価を\(B \times I\)上で満たし\(\Vert f (x, t) \Vert\)がそこでファイナイト(有限)である場合、\(\epsilon_i\)は当該不等式たちを満たすように常に選べる、なぜなら、もしも、\(L\)およぶ\(M\)が選択された後に当該不等式たちが\(I\)に対して成立しない場合、あるより狭いインターバル(区間)\(I'\)を選んで それら\(L\)および\(M\)を動かすことなく当該不等式たちを満足するように選ぶことができる、なぜなら、\(L\) および\(M\)はより狭い当該ドメイン(定義域)に対してより大きくある必要がない。


2: 注1


\(x\)のドメイン(定義域)は\(\mathbb{R}\)上でオープン(開)でないところ、\(x\)の\(C^1\)性は、ユークリディアン\(C^\infty\)マニフォールド(多様体)たちの任意のサブセット(部分集合)間のマップ(写像)でポイントにおいて\(C^k\)であるもの、ここで、\(k\)は\(0\)を除外し\(\infty\)を含む、の定義によっており、各バウンダリー(境界)ポイントにおけるデリバティブ(微分係数)は\(\frac{d x}{d t} = \frac{d x'}{d t}\)、ここで、\(x': (t_0 - \epsilon_j - \epsilon, t_0 - \epsilon_j + \epsilon) \to \mathbb{R}^d\)は\(x\)のある\(C^1\)エクステンション(拡張)であって\(x' \vert_{(t_0 - \epsilon_j - \epsilon, t_0 - \epsilon_j + \epsilon) \cap I} = x \vert_{(t_0 - \epsilon_j - \epsilon, t_0 - \epsilon_j + \epsilon) \cap I}\)を満たすもの、である。

\(x\)の各バウンダリー(境界)ポイントにおける\(C^1\)性は、ワンサイデッド(片側)デリバティブ(微分係数)の存在にコンティニュアス(連続)性を付けたものに等しい; 各バウンダリー(境界)ポイントにおける\(x\)のデリバティブ(微分係数)はワンサイデッド(片側)デリバティブ(微分係数)に等しい、任意の(半分かもしれない)クローズドインターバル(閉区間)から任意のユークリディアン\(C^\infty\)マニフォールド(多様体)の任意のサブセット(部分集合)の中への任意のマップ(写像)の各バウンダリー(境界)ポイントにおける\(C^1\)性は、ワンサイデッド(片側)デリバティブ(微分係数)の存在にコンティニュアス(連続)性を付けたものに等しく、デリバティブ(微分係数)はワンサイデッド(片側)デリバティブ(微分係数)であるという命題によって。


3: 証明


当該常微分方程式は\(x (t) = x_0 + \int^t_{t_0} f (x (s), s) ds\)に等しい、なぜなら、もしも、\(x(t)\)が一方を満たす場合、それは他方を満たす: \(\frac{d x}{d t} = f (x, t)\)だと仮定する、すると、\(x (t) - x (t_0) = \int^t_{t_0} \frac{d x}{d t} (s) ds = \int^t_{t_0} f (x, s) ds\); \(x (t) = x_0 + \int^t_{t_0} f (x (s), s) ds\)だと仮定する、すると、\(\frac{d x}{d t} = f (x, t)\)。

全て\(C^0\)マップ(写像)たちのセット(集合)\(Y: \{y \vert I \to B \text{ such that } y (t_0) = x_0\}\)に対して、マップ(写像)\(T: Y \to Y\)を\((T y) (t) = x_0 + \int^t_{t_0} f (y (s), s) ds\)によって定義する、それは、確かに\(Y\)の中へのものである、なぜなら、\(\Vert (T y) (t) - x_0 \Vert = \Vert \int^t_{t_0} f (y (s), s) ds \Vert \le \vert \int^t_{t_0} \Vert f (y (s), s) \Vert ds \vert \le \vert \int^t_{t_0} M ds \vert \le M \epsilon_i \le K\)、そして、\(T y\)はコンティニュアス(連続)である。

\(Y\)をコンプリート(完備)メトリックスペース(計量付き空間)にしよう、任意の\(y_1, y_2 \in Y\)に対して、\(dist (y_1, y_2) = sup_{t \in I} \Vert y_1 (t) - y_2 (t) \Vert\)でもって。それは実際にメトリック(計量)である: 任意の\(y_1, y_2, y_3 \in Y\)に対して、1) \(dist (y_1, y_2) \ge 0\)、ここで、等号は、もしも、\(y_1 = y_2\)である場合、そしてその場合に限って成立する; 2) \(dist (y_1, y_2) = dist (y_2, y_1)\); 3) \(dist (y_1, y_3) = sup_{t \in I} \Vert y_1 (t) - y_3 (t) \Vert = sup_{s \in I} \Vert y_1 (t) - y_2 (t) + y_2 (t) - y_3 (t) \Vert \le sup_{t \in I} (\Vert y_1 (t) - y_2 (t) \Vert + \Vert y_2 (t) - y_3 (t) \Vert) \le sup_{t \in I} \Vert y_1 (t) - y_2 (t) \Vert + sup_{t \in I} \Vert y_2 (t) - y_3 (t) \Vert = dist (y_1, y_2) + dist (y_2, y_3)\)。それは実際にコンプリート(完備)である: 任意のコーシーシーケンス(列)\(y_1, y_2, ...\)に対して、任意のポジティブ(正)\(\epsilon\)に対して、以下を満たすある\(N\)、つまり、各\(N \lt j, k\)に対して\(dist (y_j, y_k) \lt \epsilon\)、がある、しかし、任意の\(t \in I\)に対して、\(\Vert y_j (t) - y_k (t) \Vert \le sup_{t \in I} \Vert y_k (t) - y_j (t) \Vert \lt \epsilon\)、それは、当該シーケンス(列)はポイント毎にリミット(極限)\(y: I \to \mathbb{R}^d\)にコンバージ(収束)することを意味するが、\(\Vert y (t) - x_0 \Vert = \Vert y (t) - y_j (t) + y_j (t) - x_0 \Vert \le \Vert y (t) - y_j (t) \Vert + \Vert y_j (t) - x_0 \Vert = \Vert y (t) - y_j (t) \Vert + K - \epsilon\)、しかし、ある\(N \lt j\)に対して\(\Vert y (t) - y_j (t) \Vert \lt \epsilon\)、したがって、\(\Vert y (t) - y_j (t) \Vert + K - \epsilon \lt \epsilon + K - \epsilon = K\)、したがって、\(y\)は\(B\)の中へ行く; \(\Vert y_k (t) - y_j (t) \Vert \le sup_{t \in I} \Vert y_k (t) - y_j (t) \Vert \lt \epsilon\)、それが意味するのは、当該シーケンス(列)はユニフォーム(一様)にコンバージ(収束)するということ、したがって、リミット(極限)はコンティニュアス(連続)である。

さて、\(\Vert (T y_1) (t) - (T y_2) (t) \Vert = \Vert \int^t_{t_0} f (y_1 (s), s) - f (y_2 (s), s) ds \Vert \le \vert \int^t_{t_0} \Vert f (y_1 (s), s) - f (y_2 (s), s) \Vert ds \vert \le \vert \int^t_{t_0} L \Vert y_1 (s) - y_2 (s) \Vert ds \vert \le L \epsilon_i sup_{t \in I} \Vert y_1 (t) - y_2 (t) \Vert = L \epsilon_i dist (y_1 - y_2)\)、ここで、\(L \epsilon_i \lt 1\)。したがって、\(dist (T y_1, T y_2) = sup_{t \in I} \Vert (T y_1) (t) - (T y_2) (t) \Vert \le L \epsilon_i dist (y_1 - y_2)\)、したがって、\(T\)はコンストラクション(収斂)である、そして、コントラクション(収斂)マッピングの法則によって、以下を満たすユニーク固定要素\(x \in Y\)、つまり、\(T x = x\)、がある。\(x = x_0 + \int^t_{t_0} f (y (s), s) ds\)であるから、\(x\)は\(I\)上方で\(C^1\)であり、\(x (t)\)は、当該常微分方程式のユニーク(\(x\)はコンティニュアス(連続)マップ(写像)たちの間でユニークなので、それはなおさら\(C^1\)マップ(写像)たちの間でユニークである)\(C^1\)解である。


4: 注2


\({\epsilon_i}\)がいかに決定されるかを知ることが重要である: それは特に初期条件に依存する、それが、あるインターバル(区間)内の各ポイントにおけるローカル存在が当該インターバル(区間)全体に対するグローバル解の存在を保証しない理由である(別の命題を参照)。


参考資料


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